敦賀市高野の白山神社に伝わる「毘沙(びしゃ)講」が十九日早朝、同神社で行われた。約四百年前から続く伝統行事だが、今年は水ごりで体を清める儀式が高齢化などを理由に休止。区民からは「やむを得ない選択」と残念がる声が漏れた。

 毘沙講は毎年旧暦の一月十八日に行われる。講員が二十三所帯あり、毎年当番宿を決めている。近年では、昨年で当番宿が一巡し区切りが付いた。そこで区内の集まりで水ごりの存続を議論したところ、講員の高齢化や後継者不足、安全性を考慮し、休止することを決めたという。

 この日は、区長の平山直樹さん(57)ら五人が当番を務め午前八時ごろ、酒やコンブを同神社拝殿に供えて参拝した。本来ならこの後、男衆が白パンツ一枚になって凍り付くほど水を体にかぶる水ごりが行われるが、今年は休止。青竹で作った矢を約八メートル離れた的に向かって一人二本ずつ放つ弓打ちを従来通り行い、儀式を終えた。

 同神社横の薬師堂で酒を酌み交わす区民からは水ごりの休止で先行きを不安がる声が聞こえた。二十歳のときに水ごりを初めて体験し、以降三十回以上行ってきたという前区長の野崎隆夫さん(74)は「高齢化が進み、冷水を浴びることで身体への危険性もでてきた。残念だが、休止せざるを得なかった」と唇をかみしめていた。

 視察に訪れていた敦賀短大非常勤講師で、県文化財保護審議会委員の金田久璋さんは「県内でも水ごりを行う行事は大変珍しい。簡素化は廃止につながる可能性が高い。地区内の事情はあると思うが、ぜひとも踏みとどまってほしい」と話していた。

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