2011年に5人が死亡した焼き肉チェーン店「焼肉酒家(やきにくざかや)えびす」の生肉集団食中毒事件で、富山県警などの合同捜査本部が立件を断念したことが12日、分かった。合同捜査本部は業務上過失致死傷容疑で、運営会社元社長(47)と食肉卸会社元役員(41)についての捜査結果の書類を15日に富山地検に送付する。肉の生食規制強化のきっかけとなった事件だったが、元社長らの刑事責任は問われない結果となる。

 福井県医薬食品・衛生課によると、福井市内のえびす店舗では男女4人の食中毒が確認され、6歳男児(当時)が死亡、3人が入通院した。

 越前市の会社員高原一也さん(27)は腸管出血性大腸菌O111に感染、激しい腹痛で約3週間入院し、命の危険を感じたと振り返る。「刑事責任を問えないなんて考えられない。この5年弱、恐怖や怒りを忘れたことはない。亡くなった男児の遺族の無念さを思うと言葉がない」と落胆を隠さなかった。

 腎機能が低下する溶血性尿毒症症候群(HUS)で重症化し、運営会社などへの損害賠償請求訴訟に加わっている福井市の10代女性(当時)の代理人弁護士は「被害者が納得できるよう、捜査機関には十分な説明を求めたい」と述べた。

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