休日明けの12日、東京外国為替市場の円相場が一時1ドル=111円台後半で取引されるなど、このところの急激な円高ドル安に、福井県内企業には警戒感が広がった。海外事業の収益の目減りに加え、消費マインドの冷え込みにつながることを懸念。一方、為替の影響で業績が大きく左右されないよう、経営体制を見直す動きも進んでいる。

 「想定を超えた『行きすぎた円高』だ。激しい動きが収まり、落ち着いた相場になってほしい」。県内製造業のある幹部は困惑した。

 韓国、台湾、ベトナムなど海外拠点を軸に業績を伸ばしている日華化学(本社福井市)は、2016年12月期の想定為替レートを1ドル=120円に設定。仮に年間平均が115円になると、予測では売上高が約7億円、利益が約7千万円のマイナスになるという。

 セーレン(本社福井市)は15年度上半期に1ドル=120円前後としていた想定レートを、下半期は原油安や中国経済減速を背景に円高傾向を織り込んだ想定にしていた。このため、1ドル=110円近くまで急伸したことに担当者は「一喜一憂する必要はない」。それでも3月決算期末が近づく中で「来期業績の見通しは、さらなる円高を想定する必要が出てくる。今後もマーケットを注視していきたい」と警戒感を示した。

 売上高の7割以上を建築資材が占めるフクビ化学工業(本社福井市)は、円高株安が消費マインドを冷え込ませて「個人の住宅投資意欲に水を差す」ことを憂慮。「全国の新設住宅着工戸数が弱含んでいる中、一段と投資意欲が抑制的になりかねない」と危機感を表した。

 同社は、原油安と円高によって「樹脂原料の輸入調達コストが下がることは、近視眼的にはプラス要因」。ただ「それよりも日本全体の景気が大事。株価は6カ月先の先行指標ともいわれ、長い目で見れば株価下落に伴って消費が落ち込む方が、業績に与える影響は大きくなる」と話した。

 海外事業の売上高比率がグループ全体の約4割を占めるセーレンは「現地調達・現地販売による“現地化”を進めており、為替レートの変動が業績に大きく影響しない体制を整えている」(担当者)という。日華化学も工場を新設した台湾子会社に技術移管を進めるなど、現地での原材料調達や開発製造、販売を強化し、為替の影響を低減していく考えだ。江守康昌社長は10日の15年12月期連結決算発表会見で「売上高が減っても利益は確保できる体質をつくることが重要だ」と語った。

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