特殊詐欺にご用心

 老後の蓄えを一度に奪われたら…。考えるだけで恐ろしい。「おれおれ詐欺」などの特殊詐欺が福井県内で横行している。確認された被害件数は昨年、統計以来最悪の58件に上り、被害額は2億5千万円を超えた。「私に限っては大丈夫」との油断は禁物。詐欺の手口と、今すぐできる対策をまとめた。

 ■電話で「お金」は詐欺

 特殊詐欺で使われるお金の受け渡し方法は▽現金自動預払機(ATM)などで振り込ませる▽本来は禁じられている宅配便での送付を依頼してくる▽自宅に受け取りに来る—の3パターンに分かれる。やりとりはほぼ電話。「『電話』で『お金』の話が出たら詐欺を疑って」。福井県警の防犯担当者は強調する。

 「お母さん、助けて」「あなたの口座が犯罪に使われていますよ」。犯人は息子や警察官、はては身内が絡む交通事故の被害者など、あらゆる役を演じてくる。だます手口は多岐にわたり、昨年は「おれおれ詐欺」とアダルトサイト利用料などの架空請求で被害の7割を占めた。

 加えて近年目立つのが医療費や税金の還付があると持ち掛けるケース。この手口では「お金を振り込みます」とATMまで誘導し、機械を操らせて逆に預金を抜き取ってしまう。「必ずもうかる」と未公開株などの販売を装うものもある。

 県警によると、1月に運用が始まったマイナンバーや、契約先を自由に選べる「電力小売り全面自由化」(4月から)に便乗した詐欺の増加も予想される。

 最近の手口は県警ホームページで確認できる。不審に感じたら、迷わずに県警の相談ダイヤル「#9110」や警察署に電話しよう。

 ■情報漏えいに警戒を

 福井県内で2014〜15年、同じ高校の卒業生宅に不審電話が集中した。卒業名簿が悪用されたとみられる。県警捜査員は「遺憾だが、個人情報は漏れている前提で警戒したほうがよい」。仮に相手が身内の氏名や勤め先を話してきても、本当に知人かどうかは慎重に見極めたい。

 犯人は怪しまれないように、すぐに「金をくれ」と言わない場合が多い。福井市の60代女性の事例。息子をかたる男は最初の電話で「体調が悪い」とだけ告げてきた。後日、「実は人妻を妊娠させ、示談金が要る」と泣きついてきた。女性はパニックに陥り、金融機関に走った。

 ■家族で話し合おう

 対策として県警は、電話機近くに「詐欺注意」と紙を張って防犯意識を「見える化」したり、家族間で本人確認の合言葉を定めたりする方法を勧める。

 電話機に自動録音機能を備えた装置をセットする手も有効だ。1万円前後で流通している。福井市は100台を無償貸与する事業を行っており、随時受け付け中。県警では、受話器を持ち上げると注意喚起を促してくれる「飛び出すシール」を全ての高齢世帯に配布している。合言葉を記す欄も備え、手軽ながら効果は大きい。

 家族や知人同士で「気を付けよう」と普段から話し合うのが何より大切だ。蓄えを守るのはあなた自身。県警は「きょうから対策を始めて」としている。

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