日銀が前週末に追加金融緩和としてマイナス金利の導入を打ち出したのを受け、県内の金融機関からは、金利低下により収益環境が厳しくなることへ懸念の声が聞かれた。一方で設備投資意欲の高まりなど、経済の好循環につながる動きに期待も表れている。

 長期金利は1日、2営業日続けて過去最低を更新した。市場金利の低下を通じ、企業向け融資や住宅ローンの金利が下がるとの見方もある。福井信用金庫(本店福井市)の担当者は、こうした動きが「収益の圧迫要因になり得る」とみる。

 住宅ローンなどの金利は既に過去最低水準にあり、同担当者は「金利競争が続いており、現状でも収益は厳しい。これ以上の引き下げは、どの金融機関も難しいのでは」と分析する。ただ「個人や企業の預金金利をマイナスにするものではない」と強調した。

 福邦銀行(本店福井市)の東條敬頭取も、収益性の見通しについて「金利低下により、利益のウエートが高まっている有価証券の運用が難しくなる」と説明した。

 マイナス金利自体は、日銀に預ける銀行預金を市中に循環させ、景気をテコ入れする狙い。東條頭取は「低金利が続くという心理的な安心感が働き、設備投資などの意欲が高まるのでは」と期待し、資金需要の掘り起こしを強化する考えを示した。

 福井銀行(本店福井市)の林正博頭取も「(マイナス金利は)未体験であり、影響を注視する必要がある」とした上で「企業や家計のマインドは緩やかに回復しており、設備投資などへ積極的な動きにつながることを期待する。そうした資金ニーズに対応し、地域経済活性化に寄与したい」と前向きに捉えた。北陸銀行(本店富山市)も「経済の先行き懸念払しょくへ貸出金を増やし、投資を呼び起こすのが役割。資金ニーズに、よりタイムリーに応えたい」と説明した。

 1日の東京株式市場で日経平均株価は続伸した。益茂証券(本社福井市)のアナリスト横山光氏は「マイナス金利という奇策が市場の信認を取り戻し、株高をけん引するだろう」と述べた。

 県中小企業団体中央会は、マイナス金利が「経済全体に即座に好影響を及ぼすかは現段階では何とも言えない」とみる。「中小の経営者は設備投資の際、まず国の補助金活用を考える。銀行の貸し付け意欲が高まったとしても、設備投資の回収の見通しがつくか慎重に判断する」と話した。

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