【解説】東京電力福島第1原発事故から約5年。いまだ事故は収束せず、原発の立地地域や県民は不安を抱えたままだ。安全確保の第一義的責任が事業者にあるのは言うまでもないが、関西電力は福島の現実や原子力を取り巻く情勢を直視し、信頼ゼロからの再稼働だと肝に銘じてほしい。

 「福島事故は人災」と国会事故調査委員会が指摘したように、津波対策などへの東電の対応のまずさは否めなかった。安全より経済性を優先する組織風土がにじんだ。関電は過去に死傷者を出した美浜3号機蒸気噴出事故などをいま一度顧み、「安全最優先」が言葉だけでなく、組織に根付いていることを証明していく必要がある。

 万が一の重大事故は考えたくないが、30キロ圏の広域避難計画は実効性を高めなければならない。再稼働までに国や県は京都、滋賀両府県との合同避難訓練を行えなかった。このことは重く受け止めるべきだ。国は避難計画を自治体任せにし、支援という形で責任をあいまいにしている。国が主導し、計画や訓練の検証をしっかりと行っていくべきだ。

 高浜3号機では、使用済み燃料を再処理して取り出したプルトニウムを燃やすプルサーマル発電も再開。しかし、中間貯蔵施設の県外立地や、停滞する核燃料サイクル、核のごみの問題解決を先送りしたまま進む。

 早晩行き詰まるのは必至であり、今後訪れる電力自由化の市場競争の中で原発事業は不透明さが増す。原子力が抱える全ての課題を洗いざらい見直す時期に来ている。

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