日銀本店=東京都中央区

 日銀は29日、金融政策決定会合を開き、民間銀行が日銀に新たに預ける資金に手数料を課す「マイナス金利」の導入を決めた。原油安で物価は伸び悩み、年明け以降の市場混乱で景気の先行き不安が強まっているため、金利を一段と引き下げる追加緩和を決めた。2月16日から適用する。マイナス金利には副作用も大きく、デフレ脱却を実現できるか依然不透明だ。

 日銀は2013年4月以降、世の中に出回る資金量を拡大する大規模緩和を実施してきた。だが日銀が掲げる2%の物価上昇目標の達成にめどが立たず、政策の継続が困難になっていたため、新たな手段を採用することにした。マイナス金利は、銀行の貸し出しを増やし、金利低下や円安を促す効果があるとされている。

 追加緩和決定を受け29日の東京外国為替市場では、円相場が対ドルで急落し一時、1ドル=121円台前半で取引された。東京株式市場の日経平均株価(225種)の上げ幅は一時、500円を超えた。黒田東彦総裁が午後に記者会見する。

 日銀はこれまで民間銀行からの預金に対し年0・1%の利息(付利)を付けていたが、今後はマイナス0・1%とし、手数料を取る。マイナス金利は欧州中央銀行(ECB)が適用している。

 長期国債の金利が歴史的な低水準で推移する中、日銀への預金は貸出先に乏しい金融機関の有力な運用手段になっていた。マイナス金利は銀行の収益を圧迫する懸念がある上、コストを貸出金利に転嫁する動きが広がれば、景気を下押しする恐れもある。マイナス金利決定は、9人の政策委員のうち5人が賛成し、4人が反対した。

 日銀は大規模緩和で、市場から長期国債を年約80兆円買い入れ、代わりに資金を供給してきた。だが日銀の購入額は政府が新規に発行する国債とほぼ同等となり、流通する国債も減っているため、市場では買い入れは限界を迎えているとの見方が強まっていた。

 日銀は会合後に公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で、物価見通しを下方修正した。日銀が目指す2%の物価上昇目標の達成時期を「16年度後半ごろ」から「17年度前半ごろ」に先送りした。延期は昨年10月に続いて3回目。

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