お試し居住で、福井市が活用を検討している空き家情報バンクのホームページ

 移住を促すため、福井市が国に提案した空き家宿泊を旅館業法の適用外とする規制緩和が本年度中に行われる見通しになった。移住希望者を「お試し居住」として、空き家に有償で宿泊させることが可能になる。一方、違法宿泊の抜け道を防ぐ対応などの制度設計も必要。移住促進の一助となるか、課題を探った。

 厚生労働省は、繰り返し不特定多数者が宿泊することのないような措置が担保された場合、同法の適用外とすることを本年度中に地方公共団体に通知する。電気、水道などのライフラインの確保や、宿泊できるよう掃除等をする必要があることから同市は、有償で宿泊できるよう、規制緩和を求めていた。

 福井県若者・定住支援課によると、県や市町の支援を受けて県内にU・Iターンしたのは2014年度が248世帯361人。移住者の相談の9割は仕事関係で、残り1割のほとんどが住居関係という。同課の服部和恵課長は「住みたい場所がある人に対しては、お試し居住は移住を後押しする呼び水になるのでは」と期待を寄せる。

 8年前に、大阪府から県内に移住した辻喜久さん(60)は「仕事、住居、医療環境は移住を判断するときの“3本柱”」と強調。男性は仕事だが、女性は住まいへの関心が高いとし「お試し居住があれば、利用する人は多い」と指摘した。

 ただ空き家のお試し居住が、違法宿泊の抜け道にならないかの懸念もある。同省によると、利用する空き家物件の特定や利用する移住希望者の確認は、各自治体で仕組みづくりをする必要があるとしている。

 福井市では、物件については、空き家情報バンクへ登録したものに限定。移住希望者は、県や各市町の移住相談窓口を経由することで、それぞれ制限が設けられると想定している。同市総合政策室は「本格的なスタートに向け、抜け道を防ぎながら、利用しやすい制度の詳細を詰めたい」としている。

 「古い物件では、所有者とリフォーム費用を巡るトラブルなどがある。考えられる問題点を今から洗い出して備えておくことが必要」と指摘するのは、東京都から鯖江市に移り住んだ浜口真一さん(46)。「移住希望者の選択肢を広げるため、空き家の登録物件数を増やす努力も必要。移住者を呼び込むためには、制度だけでなく自治体の“本気度”も試される」と話していた。

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