悲願の競技かるた名人が誕生し、川崎文義八段(中央)を囲み喜び合う福井渚会のメンバー=9日、大津市の近江神宮勧学館

 30年以上にわたりはね返され続けた壁を打ち破った。9日、福井県越前市の川崎文義八段(27)=福井渚会=が奪取した競技かるたの名人位は、福井渚会として13回目の挑戦でようやくつかんだ“勲章”。同門の強豪がしのぎを削り、実力を高め合ってきた「かるた王国」福井の神髄を見せつけた勝利に、関係者は喜びを爆発させた。

 1982年に初挑戦した栗原績九段(68)=福井渚会前会長、福井市=は勝利の瞬間、「一つの仕事が終わった感じで、ようやく肩の荷が下りた」と感慨に浸った。福井から名人が生まれる日を夢に40年以上、後進の育成に力を注いできた。自費で設けた40畳の道場が選手の豊富な練習量の礎になった。歴史を塗り替えた教え子に「追い詰められた場面をよくしのいだ。(同門の)強い相手と試合を重ねた成果」と目を細めた。

 2000年から07年にかけて通算5回名人位に挑戦した土田雅八段(40)=あわら市=は、タイトルの重みを最も知る一人だ。川崎八段らが背中を追いかけてきた先輩は、「名人位戦の雰囲気は特別で、普段の力を発揮するのは簡単なことではない。(川崎八段には)ただおめでとうと伝えたい」とたたえた。

 川崎八段の5歳年上の三好輝明八段(32)=越前市=は08、10、12年に名人位戦に出場。渚会を引っ張ってきた。三好八段は「チャンスをつかみ、すごいのひと言」と喜ぶ一方、「(挑む)相手が川崎八段に替わっただけ。名人位を目標に1年間練習に励む」と闘志を燃やした。

 鈴木大将七段(26)=勝山市=を含め、道場には常に全国トップ級の実力者同士で練習できる環境がある。川崎八段が挑戦者に決まってからは土田、三好、鈴木選手が練習相手を務めた。鈴木七段は「渚会の仲間として自分のできることは何でもするという思いで一緒に練習してきた。自分もこれから、自分のかるたを極める」と意気込んだ。

 新たな時代に入った福井県かるた界。91年にクイーン位に就いた福井渚会現会長の山崎みゆき八段(52)=坂井市=は「栗原前会長から名人位を取るという目標を引き継ぎ、みんなで努力してきた。本人もうれしいと思うが、福井渚会としても本当にうれしい」と笑顔で語った。

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