北潟湖や鹿島の森(写真左奥)を望む「御山」=福井県あわら市吉崎1丁目

石畳の道沿いに寺社が点在する寺町通り=福井県越前市京町3丁目

高台から見下ろす西津地区と小浜湾=福井県小浜市北塩屋から撮影

 豊かな自然、歴史や文化に彩られた福井。ぶらり、散策に出掛ければ、まちがますます好きになる宝がいっぱい。思いがけない出合いや発見が待ち受けています。「この路地、迷路みたい」「お地蔵さん、いくつあるの」「ここからの眺め、最高」—。お薦めのまち歩きコースを福井県あわら市、越前市、小浜市から。まち歩き時間の目安は各コース1時間ほどですが、寄り道しながら、ゆっくりどうぞ。

 ■あわら・吉崎地区 蓮如伝説たどる湖畔

 浄土真宗中興の祖、蓮如は、あわら市吉崎の三方を湖に囲まれた高さ約40メートルの「御山(おやま)」に道場「吉崎御坊」を構えた。蓮如の教えを伝える寺院と歴史ある参道、豊かな自然景観と、静寂な空気が流れるまちだ。

 山頂広場に一帯を見渡すように建つ高さ約12メートルの蓮如上人の銅像は、彫刻家高村光雲の四大作の一つとされる。広場は桜や紅葉など四季折々の表情をみせ、北潟湖や鹿島の森を望む。遠く日本海に沈む夕日も絶景だ。

 広場へは吉崎小のそばから続く約450メートルの小道「馬場大路」を通るのがお薦め。住民が復元した旧参道は、小鳥のさえずりや木漏れ日が心地いい。御山の麓には吉崎東・西両別院が建つ。4月の蓮如忌には多くの参拝客が訪れ、1週間にわたり法要が行われる。

 吉崎一帯は“県境のまち”でもあり、湖畔の「県境の館」は蓮如や一向一揆の歴史を伝える。地元語り部の会に案内を頼めば、蓮如にまつわる伝説をたどりながら、さらに楽しめる。ガイドの問い合わせは吉崎公民館=電話0776(75)1205。

 ■越前市・武生駅前 お寺密集 小道や石畳

 古代には国府が置かれ、越前国の中心地として栄えた越前市の武生エリア。歴史を感じさせる寺社や旧跡、小道が集まり、見どころが満載だ。

 JR武生駅前を発着点とする時計回りのコース。南方向を目指すと、昔ながらの町家や細い道が数多く残る。住吉町の帆山(ほやま)寺を訪ねると、本堂にある涅槃(ねはん)像と対面。2・5メートルあり、予想以上の大きさ。こうした出合いも、まち歩きの魅力だ。

 西に向かい、本町に到着。右を向いても左を向いても寺、寺、寺…。南北約250メートル、東西約130メートルほどの範囲に10もの寺が集まる。周辺には、攻められにくくするために造ったなどの説がある「卍(まんじ)が辻(つじ)」や、折れ曲がった小道が点在する。

 石畳の寺町通り周辺にも、寺社や旧跡が並ぶ。夜間は灯ろうでライトアップされ、夕暮れ時などの散策もお薦めだ。昨年、武生エリアで計4回のまち歩きツアー「てらたび」を企画した同市の地域おこし協力隊員小野寺康浩さん(25)は「キャラ立ちしているポイントがいくつもあり、行くたびに発見がある」。

 ■小浜・西津地区 海、ネコ、地蔵 癒やし

 若狭湾に沈む夕日が狭い路地に差し込み、静かにたたずむ地蔵を赤く染める。小浜市西津地区は古くから栄えた漁師町。小浜に魅せられ、東京から移住し3年目の馬場淳子さん(51)と歩いた。

 路地で細かく区切られているのが、この地区の特徴。ほこらが点在し、中には絵の具などで彩色された地蔵を安置。地元で「化粧地蔵」と親しまれ、明治初期から数多くあった共同井戸と、子どもたちの安全を見守ってきた。化粧は毎年、地域の子どもたちが直しているという。「大きさも表情も全然違うのね」と興味津々の馬場さん。

 振り返ると、路地を1匹のネコが横切った。辺りではのんびり、くつろぐネコをよく見かける。「夏は海沿いに咲くピンクのハマナスがきれいですよ」(馬場さん)。

 魚屋の前では、のれんのように干されたガンゾウヒラメに目を奪われた。パリパリに乾燥させたものは、冬のおつまみの定番とか。

 潮の香りと心地よい海風を感じながらゆっくり歩くのがお薦め。地蔵とネコに癒やされるひとときだ。

関連記事
あわせて読みたい