名人位戦に向け、練習に励む川崎文義八段=福井市高木1丁目の福井県かるた協会

 競技かるたの最高位を争う第62期名人位戦が9日、大津市の近江神宮勧学館で行われる。挑戦者として、福井県越前市の川崎文義八段(27)=福井渚会=が出場。5年ぶり2度目の挑戦で、3連覇中の岸田諭名人=京都市、篠山かるた会=と5番勝負を戦う。「かるた王国」と称され、強豪選手を輩出する福井県だが、名人位の称号はまだ獲得していない悲願。川崎八段は「平常心を大切に、力を出しきりたい」と話し、練習に励みながら最高の舞台を待つ。

 川崎八段は5年前の挑戦で、西郷直樹永世名人=東京、早大かるた会=に敗れた。対戦成績は2—3の惜敗だったが、川崎八段は「実力不足を痛感した。今思うと挑戦するだけで満足していた」と振り返る。

 この一戦を機に練習量を増やし、大会にも積極的に出場するようになった。そしてこの1年間は「名人位を取る」と強く自覚してきた。

 練習は週2回、福井市の県かるた協会で取り組む。「かるたはメンタルの競技。心に乱れがあれば立て続けに負ける。練習通りの力を出すことは簡単なようで難しい」と川崎八段。心掛けたのは「平常心をいかに保つか」だった。「仕事や家庭、そしてかるた。どれも、自分の日常の一部」として意識できるよう、日々を過ごしてきたという。

 気持ちをコントロールできるという手応えをつかんだのは昨年7月、福井渚会恒例の夏合宿のころから。秋以降は、全国大会で続けざまに優勝するなど好調を維持し、名人位の挑戦権をつかみ取った。

 岸田名人は「これまで100回以上対戦し、お互いに手の内を知り尽くした相手」。決まった型を持たず、相手を見極めて戦術を組み立てるうまさがあるという。

 福井渚会選手の名人位挑戦は13回目。1991年にクイーン位に輝いた山崎みゆき同会会長は「試合中、無心の境地に入らなければ取れないタイトルだが、彼はそれができる選手」と背中を押す。川崎八段は「2回目の挑戦で力みはない。自分にできることはたった一つ。1枚1枚札を取るだけ」と自然体を貫く。

 同時に行われる第60期クイーン位戦は、坪田翼クイーン(東京)に本多恭子六段(滋賀)が挑戦する。

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