福井県越前市白山地区で国の特別天然記念物コウノトリ2羽が放鳥されてから約3カ月。県の衛星利用測位システム(GPS)のデータによると、28日時点で雄のげんきくんは東シナ海に浮かぶ長崎県の五島列島、雌のゆめちゃんは愛知県の知多半島南部に位置する美浜町にいたようだ。全国を飛び回る2羽はどこで2016年を迎えるのだろうか。

 10月3日に白山地区を旅立ったげんきくんは、宮城県北東部の美里町周辺に通算で2カ月近く滞在した。この間に関東まで南下した時期があり、東京都大田区の羽田空港敷地内にも一時降り立った。

 12月上旬に同町を離れ、日本海側に移動。12、13日は福井県上空を飛んでいたとみられ、記録では12日午後5時ごろに小浜市阿納尻、13日午前9時ごろに高浜町薗部でそれぞれ羽を休めた形跡がある。その後、日本海に沿うように西に飛び、20日に九州に上陸した。

 ゆめちゃんは放鳥後、比較的長く同じ地域にとどまっている。滋賀県高島市に2週間以上いた後、熊野灘に面した三重県紀宝町まで南下し、岐阜県可児市には通算で約1カ月居ついた。12月上旬から約3週間は愛知県美浜町と隣接する南知多町で過ごしている。

 1日で200キロ以上移動した時もある2羽。滞在した自治体のホームページや地元紙で紹介されるなど、各地で親しまれている。2羽の位置情報を更新している福井県自然環境課のホームページには、飛来先の住民から届いたメッセージや写真を紹介するコーナーも設けられ、開設後1カ月で1万を超えるアクセスがあった。

 放鳥後のコウノトリの動きに関して、兵庫県立コウノトリの郷公園(同県豊岡市)の船越稔・主任飼育員は「兵庫県内で放鳥した場合は、豊岡市周辺に帰ってきている例が多い。若いとあちこち飛び回るが、最終的に生まれた場所に戻っている」と説明。近年は、同市で生まれたコウノトリが鹿児島県の奄美地方に居ついたり、ペアになって徳島県鳴門市で営巣したりするなどの変化がみられ、船越氏も「今後は予測がつかない」と話す。

 コウノトリは、もともと渡り鳥。げんきくん、ゆめちゃんも暖かい地域で冬を過ごすのだろうか。2羽を誕生から見守った福井県のコウノトリ支援本部の担当者は無事を祈りながら、「年末年始ぐらい里帰りしてもいいのでは」と願っている。

関連記事
あわせて読みたい