福井県内の企業で、経営権をめぐって創業者一家の父娘が真っ向から対立する争いが起こり、刑事事件に発展する情勢となっている。総株式数の過半数を得た長女が今秋、取締役会で社長の父親を解職、経営権を手にした。株主の1人が、長女の持つ株式の中には勝手に名義を書き換えられたものがあるとして告訴。県警は受理したもようだ。

 この企業は運送業の日本商運(本社永平寺町)。100台を超す車両を保有する県内屈指の規模。1970年代に父親が創業した。

 告訴状によると、2012年9月、告訴した株主の筆跡をまねた署名のある株式の贈与契約書が偽造され、この株主の株式が、長女と父親らに贈与されたことにされたという。同時期に取締役会が開かれ、株式の譲渡が承認されたとの内容で関係者の印鑑が押された議事録が作成されたが、父親やこの株主らは出席しておらず、印鑑も押した覚えがないことから、議事録も偽造だとしている。

 今年9月、取締役会が開かれ、長女が新たな社長に就任。父親は代表権のない会長となった。

 この株主はその後の臨時株主総会で自身の株式譲渡が承認されていた事実を知り、有印私文書偽造、同行使の疑いがあるとして県警に相談。今月、受理され立件へ向けた捜査が進んでいるもようだ。告訴状では容疑者は不明としている。

 大塚家具やロッテで親族間の経営権をめぐる問題が発生したが、いずれも民事事件。経営問題に詳しい福井県立大の川本真哉講師によると、国内で同様のケースで刑事事件につながるのは珍しいという。

 父親によると、父親の株式も無断で名義を書き換えられたとしており「信用していたのに、まさかこんなことになるとは」と話している。長女は「取材に応じられない」としている。

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