10、11月の暖かさで、収穫最盛期が約2週間早まっている越前水仙=9日、福井県越前町左右

 福井県の越前海岸特産「越前水仙」の収穫が、例年より約2週間も早く最盛期を迎えている。10、11月に温暖な日が続き成長が早まったため。最も需要が多い年末年始に品薄状態になる恐れもあり、農家や関係者は「年を越したら出荷できる水仙がなくなるのでは」と懸念を深めている。

 同県越前町や福井市越廼地区など県内産地からの出荷を一括して引き受けているJA越前丹生、JA県経済連、県丹南農林総合事務所などでつくる「越前水仙出荷協議会」によると、今季は関西など全国に約130万〜140万本の出荷を目指している。

 ただ、11月上旬から始まった出荷は、今月9日までにすでに約60万本。成長を遅らせるハウス栽培の水仙も例年は1月中・下旬から出荷されるが、すでに今月初めから始まっている。

 水仙は出荷時、つぼみの状態だと市場価値が高いが、同協議会が県内産地のほ場25カ所で2日に行った調査によると、草丈の成長が進み、花が咲き始めているものも多くある。

 約20年栽培している佐藤明大さん(45)=越前町=は11月10日から、例年ならピーク時並みの週5回の収穫作業に当たっている。「いつもなら12月中旬ごろまでは収穫は週3回程度。これだけ暖かいと収穫が少し遅れただけで花が咲いてしまう。既に全体の3分の1を収穫してしまった。ペースが早すぎる」と困り顔。福井市越廼地区の農家男性(77)も「今年は11月に入ったらもう切り出していた。品質もあまり良くない」とこぼしていた。

 同町左右の集荷場「すいせん研修館」には9日も午前8時ごろから、続々と水仙が持ち込まれた。JA職員5人が規格ごとに選抜し梱包。この日の出荷は約5万本だった。

 JA越前丹生の担当者は、需要が高まる12月中・下旬からの出荷について「例年は1日当たり5万〜10万本を出荷するが、今年は1万5千本ほどになるかもしれない」と予測する。同協議会では年末年始の需要期の出荷数確保に向け、急斜面などでの収穫を進めるため、職員10〜15人が作業に協力することにしている。

 今後に向け、この担当者は「近年の暖冬傾向で、収穫も年々早まっている。抑制栽培や植え付け時期を遅らせるなどの対策を打ちたい」と話していた。

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