対岸から見た高浜原発3、4号機=3日、福井県高浜町音海

 「あくまで安全に運転することが前提だ」。関西電力高浜3、4号機の再稼働について3日、福井県高浜町の野瀬豊町長が同意したことについて、町民からは“条件”を付けた上で支持する声が相次いだ。一方、5キロ圏内の京都府舞鶴市民は事故への懸念を口にし、「京都の意見が反映されていない」と不満を訴えた。

 同町でガソリンスタンドを経営する田中康隆さん(59)=宮崎=は「原発は大手雇用の創出先。作業員が来ることで人口が増え、経済活動が活発になる」と経済面でのメリットを強調する。仕事で原発敷地内に立ち入った際には「ここまでするのか」と思うほどの安全対策を自分の目で確認した。「不安はない」と言い切る。

 2人の子どもを保育園に迎えに来ていた母親(43)=和田=は、「福島のようになったら…という思いはある。事故だけは起こさないで」とぽつり。それでも「高浜原発は、私が生まれたころからあるもの。これまでも大丈夫だった」と不安を打ち消すように話した。

 高浜3、4号機と海を挟んで向かい合う同町音海地区。「危険がないなら構わない」と話す主婦(55)=音海=は、同地区に住む原発作業員を気に掛けた。「早く仕事の無い状態を解決してあげてほしい。避難用のトンネルが造られ、万一の対策も取っている」と町長の判断を支持した。

 一方、同町と京都府境にある青葉山の山麓に位置する舞鶴市松尾地区の住民からは、同意が納得できない、という声が聞かれた。

 松尾寺の松尾象空(しょうくう)住職(56)は「事故なしで進んできた40年の安全神話は、福島の事故で崩れた」と指摘。隣接した地域ながら(立地並みの)国の補助がないことも訴え、「京都の意見も聞いた上で(町長は)判断すべきだ」と強い口調で非難した。同地区の谷義雄さん(74)マツエさん(71)夫妻も「なぜ私たちが危険な目に遭うのか。先のことを考えて、このタイミングで原発をやめるべきだ」と語気を強めた。

■「事故あれば町長にも責任」 議会傍聴の反対派憤り

 福井県高浜町の野瀬豊町長が関西電力高浜原発3、4号機の再稼働に同意した3日の定例町会本会議は、県内外の反対派ら計15人が傍聴した。野瀬町長の表明を静かに見守り、混乱はなかった。

 傍聴した「ふるさとを守る高浜・おおいの会」の東山幸弘代表=同町小和田=は「事故が起きれば町長にも責任がある。『同意する』と言わずに『理解する』という言葉は無責任だ」と憤った。

 高浜原発から30キロ圏内の京都府民有志らは▽避難計画に実効性がない▽琵琶湖が汚染されれば、関西1400万人に甚大な影響が及ぶ—などを理由に「同意表明は断じて認められない」とする抗議声明を出した。

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