高浜原発3、4号機再稼働に同意したことを、西川一誠知事(手前左)に報告する野瀬豊町長(右)=3日午後6時ごろ、福井県庁

 関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)の再稼働に向け高浜町の野瀬豊町長が3日同意し、いよいよ地元同意手続きは県に舞台を移して大詰めを迎える。県議会は今12月議会で「総括的な検証」(仲倉典克議長)を行い、意見集約する方向だ。西川一誠知事が最終判断する環境は整いつつあり、早ければ年内に判断する可能性もある。

 ■代表質問答弁で号砲

 「本議会での議論を十分承った上で県民に信頼される判断をしたい」。12月県会の1日の代表質問。西川知事の答弁が、県議会の意見集約に向けた“号砲”となった。

 県議会の過半数を占める最大会派の自民党県政会は、政府与党の再稼働推進の方針に沿って容認の方向とみられ、議会最終日の17日の決議採決も視野に入れる。第2会派の民主・みらいは、県境をまたぐ広域避難計画が未確定のため「時期尚早」と慎重だ。

 決議は法的な位置付けはないが、議会の意思を表明するもの。福島の事故後、国内初の再稼働となった3年前の関電大飯3、4号機の同意手続きの際には、県議会が全員協議会を開いて各会派が意見を述べたものの、最終的な判断は知事に一任。意見集約しなかったことに批判もあった。

 今回は「結論の出し方を含め議論を尽くしたい」(仲倉議長)考え。仮に最終日に再稼働を認める決議案が上程されれば、賛成多数で可決する可能性は高い。

 ■首相発言を評価

 西川知事が代表質問で、高浜町長の意向と県議会の議論以外に判断の要件として挙げたのが▽県が国に要請している5条件の回答▽県原子力安全専門委員会の安全性の検証結果—の二つだ。

 5条件のうち、知事が国の姿勢が不十分と再三指摘してきた「原発の重要性に対する国民理解の促進」については、11月27日の全国知事会議で安倍晋三首相が「さまざまな機会を利用し緊密に誠実な説明を尽くす」と発言。この発言を知事は代表質問で「評価する必要がある」と答弁した。県議の一人は「全国の知事が集まる前での首相発言は大きかった」とみる。

 今後焦点になるのは、政府が5条件に対する正式な回答をいつ県に伝達するか。経済産業相の来県が軸とみられるが、5条件のうち立地地域の経済・雇用対策は来年度の政府予算案と関わり、知事は「最終的に国の対応をしっかりと確認する」としている。さらに高速増殖炉もんじゅ(敦賀市)を含めた核燃料サイクル政策や廃炉などに対する政府の責任も問う考えだ。

 一方で、11月30日に現地視察した県専門委は年内にも検証結果の報告書を取りまとめ、知事に答申するとみられる。

 ■残る不確定要素

 2基の再稼働に向け鍵となるのが、県境をまたぐ広域避難計画の確定と、運転差し止めを命じた福井地裁の仮処分をめぐる司法手続きだ。

 広域避難計画は、国と福井、滋賀、京都の3府県などでつくる地域原子力防災協議会でまとめ、再稼働前に政府の原子力防災会議で諮る流れ。しかし同協議会の開催は「国が京都などとの交渉で時間を要している」(関係者)ため遅れている。

 知事は3日、同意の伝達に訪れた野瀬豊高浜町長に「防災対策、避難対策もクリアになる必要がある」と話した。「慎重な知事だけに、国の原子力防災会議を踏まえた後でないと判断しないだろう」との見方もある。

 一方、地裁の仮処分は決定が覆らない限り、関電は2基を再稼働できない。ただ野瀬町長は同日、「(司法判断は)別の土俵の話。判断する材料や視点が違う」と強調。知事も「司法手続きと行政手続きは別系統のもの」と主張しており、仮処分決定に関係なく判断するとみられる。

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