映画の一場面。杉原氏を演じるのは唐沢寿明さん(C)2015「杉原千畝 スギハラチウネ」製作委員会

 第2次大戦中、ナチスドイツに追われるユダヤ難民に、日本通過を許す「命のビザ」を与えた外交官・故杉原千畝(1900〜86年)の半生を描いた映画が12月5日、全国公開される。福井県敦賀市は難民を日本で最初に迎え入れたゆかりの地であり、シナリオの準備稿には同市の人道の港調査研究所の古江孝治代表(65)が携わった。古江代表は「優秀なインテリジェンスオフィサー(諜報外交官)としての一面が深く描かれており、見応えがある」と話している。

 1940年、在リトアニア領事代理だった杉原氏は、ユダヤ難民に、政府の許可を待たず独断で日本通過ビザを発給し、約6千人の命を救った。「日本のシンドラー」とも称されている。

 映画「杉原千畝 スギハラチウネ」では、杉原を唐沢寿明さん、妻を小雪さんが演じる。ロケはすべてポーランドで行われ、杉原の右腕ペシュや諜報に協力する白系ロシア人、領事館職員などの外国人役は本国で名高いポーランド人俳優が務めた。

 準備稿に協力した古江さんは杉原の研究家。「人道の港敦賀ムゼウム」開設の中心的役割を担った元市職員で、館長も務めた。事実関係の確認や時代考証に関して制作側に助言し、昨年8月に正式な台本を読んだ。完成した映画の試写会にも参加し、「北満鉄道譲渡交渉での活躍や人脈づくりにたけた側面、ソ連からペルソナ・ノン・グラータ(歓迎されざる人物)と指定されるなど、人道的な外交官以外の部分にもスポットを当てており、エンターテインメント性も高い」と評価する。

 また映画では、日本へ向かうユダヤ難民の扱いをめぐり、二階堂智さん演じる根井三郎・在ウラジオストク総領事代理と、濱田岳さん演じるウラジオストク〜敦賀の定期連絡船乗務員の大迫辰雄氏が緊迫したやりとりを繰り広げる場面が描かれる。「2人に光が当たったことがとてもうれしい。彼らの協力がなければ敦賀への上陸はなかった」と古江さんは語る。

 敦賀上陸のシーンはないものの、船に乗った難民が敦賀沖で日本の陸地を目前にし、安堵する場面はハイライトの一つ。古江さんは「上陸したユダヤ人がどのように敦賀市民とかかわっていたかを描く映画やドラマが、今後新たにできてくれるとうれしい」と話している。

 福井県内では福井シネマ、鯖江アレックスシネマ、敦賀アレックスシネマで上映される。

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