福井県越前市立北新庄小学校の体育館=26日午前

 くい打ち業界最大手の三谷セキサン(本社福井県福井市豊島1丁目、三谷進治社長)は26日、同県越前市北新庄小の体育館改築工事で施工したくい53本のうち8本で、掘削時の電流計データを流用していたと発表した。現場代理人による測定記録用紙の紛失が原因としている。いずれのくいも固い地盤の「支持層」に到達していることを確認済みで「安全性への影響はない」とし、建物の傾きなどの問題は確認されていないという。

 くい打ちデータの改ざんが発覚したのは、旭化成建材(東京)、ジャパンパイル(同)に続いて3社目。

 体育館は鉄筋コンクリート製で、延べ床面積約1100平方メートル。越前市が耐震化のため改築工事を発注し、市内の建設会社2社の共同企業体が2013年7月〜14年7月に施工した。

 三谷セキサンによると、くい打ち工事は13年9月17〜28日に行われた。問題のくいは21、23日に打設してデータ計測を行ったが、契約社員の現場代理人が手帳に挟んでいた記録用紙を紛失。聞き取りに「困ったので、他のくいのデータを流用してしまった」と話しているという。

 現場代理人が作成する施工報告書は、工事責任者がチェックして元請け業者に提出するが、データ流用は想定しておらず、工事責任者によるチェック項目にも入っていなかった。今後は掘削直後の電流計データを写真に撮り、施工報告書の内容と照合するなど再発防止に努める。

 データ流用があった8本のくいについて同社は、近接する他のくいのデータやボーリング調査による地質断面図などを確認。確実に支持層(地下約9・2メートル)に届いており、建物の安全性は確保できているとしている。

 越前市によると、過去5年間にくい打ち工事を伴った市所有の9物件を点検したところ、体育館の施工結果報告書からデータの波形が同じものを発見。18日に三谷セキサンに確認を求め、調査で流用が判明した。同社は26日、国土交通省に報告した。福井市内で記者会見した三谷社長は「越前市民の皆さまをはじめ、関係各位の安全安心に対する信頼を損ね、大変申し訳ない」と陳謝した。

 同社には旭化成建材のデータ改ざん発覚後、施工主や元請け業者から約350件の調査依頼があった。うち220件で調査を終えており、流用の確認は現時点で今回の1件という。同社は、過去5年間に全国で手掛けた約8千件のくい打ち工事全てにおいて、流用の有無を調査するとした。調査終了まで半年程度かかる見込み。

 越前市も26日、市役所で記者会見を開き、体育館の安全性について「くいは、いずれも支持層に達していると業者から説明を受けており、当面このまま利用を続けても問題ないと考えている」と説明。今後は、国交省が示す建物の安全性判断の基準にのっとり、市としてさらに安全性の確認を進めたいとした。

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