健康増進プログラムの開発に向けた調査で、約1時間の山歩きを行う参加者=5月、福井県越前市の八ツ杉千年の森

 里山の気候や地形が心身にどんな影響を与えるかを分析する調査が5、10月、福井県越前市の八ツ杉千年の森などで行われた。被験者に約1時間の山歩きをしてもらった5月の調査では、特に気分の改善に効果がみられた。調査した福井大医学部の金山ひとみ助教(公衆衛生学)は「里山を活用した健康増進プログラムの確立につなげたい」としている。

 保養地などで気候要素を治療や健康増進に活用する「気候療法」は、ドイツで研究が盛ん。日本では調査研究の報告がほとんどなく、金山助教はドイツの気候療法を活用した健康増進プログラムの開発に向け、データ収集を行っている。

 5月の調査は八ツ杉千年の森、坂井市丸岡町の県総合グリーンセンター、千年の森の順で、1週間ごとに計3回実施。福井市などに住む、50〜70代を中心に14人が参加した。

 千年の森では、150メートルの標高差があるコースを約1時間歩き、涼しい場所で約20分横になる運動プログラムを実施。途中のチェックポイントなどで血圧や皮膚温などを計測した。出発前と終了後には、気分に関する質問に答えることで「緊張—不安」「疲労」などの項目を評価できる「POMS(ポムス)」と呼ばれる調査を行った。

 金山助教によると、POMSに関しては1回目の運動の出発前と3回目の運動の終了後を比べると、一部有意差が出なかった項目を除き、すべて改善した。同助教は「1回目の出発前の数値がそう悪くなかったのに、さらに改善したのは驚き」と指摘する。ほかにも、皮膚温についても有効な結果を得たという。

 10月にも同じ14人を対象に、3回の調査を行った。金山助教は、やや涼しい場所で運動を行う方が鍛錬効果が高いことが分かっているとし「データを積み上げ、健康増進プログラムを確立したい。1時間ほど里山のこのコースを歩くといったパッケージ化されたものを示すことができれば、多くの人が参加しやすいのでは」と話している。

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