伝統的技能者の表彰を受ける北川富江さん。35年にわたり鬼瓦を作り続けてきた=福井県越前市池ノ上町の「北川鬼瓦」

 鬼瓦を作る職人「鬼師」として35年間にわたり活動を続けている福井県越前市の北川富江さん(61)が30日、金沢市で開かれた第58回建築士会全国大会で「伝統的技能者」の表彰を受けた。表彰は36年前から行われているが、女性の受賞は初めて。北川さんは「他の女性職人の励みになれば」と喜びを表している。

 北川さんは、江戸末期から続く工房「北川鬼瓦」(越前市池ノ上町)の5代目。「現代の名工」にも選ばれた4代目の父、故清栄(きよえ)さんを師として26歳でこの世界に入った。住宅や神社仏閣の鬼瓦の製作に当たり、永平寺(永平寺町)や京都市の清水寺、天龍寺など重要建造物の鬼瓦製造や復元も手掛けた。

 伝統的技能者の表彰は、地域社会に貢献し卓越した技能を持つ60歳以上の技術者を対象としており、全国大会を主催する日本建築士会連合会が行う。

 同連合会事務局によると、ことし伝統的技能者表彰を受けるのは北川さんら28人。同表彰は1979年の第22回大会から設けているが、これまで受賞したのは全て男性だった。北川さんは「女性で初めてと聞き、とても光栄に思う。さまざまな分野の女性職人の励みになれば」と話す。

 北川鬼瓦は長野県を中心に活躍した宮大工集団「立川流」の技術を受け継いでいる。全て手作りで行っており、全国の鬼師の中でも数少ない存在。「次の世代にしっかりと技術を継承したい。そのためにも、父のように生涯現役で作り続けていきたい」と抱負を語っている。

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