春に手根管(しゅこんかん)症候群と診断され、完治には手術しかないと言われました。ビタミンBと痛み止めの投薬を受けていますが、痛みやしびれが取れません。入院や手術となると、家庭の事情で難しいです。ほかの治療法などがありましたら教えてください。(福井市、63歳女性)

 【お答えします】八野田愛・福井県立病院整形外科副医長

 ■神経の圧迫が原因>

 手根管とは、手首の骨と靭帯(じんたい)に囲まれたトンネル状の構造をしている部分のことです。その中には神経(正中神経)と指を動かすための9本の腱(けん)、そしてその腱を覆う腱鞘(けんしょう)という組織が存在しています。手根管症候群は、そのトンネル内で正中神経が圧迫されることにより生じます。

 正中神経を圧迫する原因は、手根管周囲での腱鞘炎や外傷、手首の腫瘍、女性ホルモンの変化による腱鞘のむくみなどが挙げられます。そのため、仕事やスポーツで手を酷使する人、透析を受けている人、妊娠出産期や更年期の女性に多く見られるのが手根管症候群の特徴です。

 症状は主に親指から薬指のしびれと痛みであり、ひどい場合には親指の付け根の筋肉が徐々に痩せてしまい、物をつまむ動作が難しくなります。臨床症状や身体所見、神経伝導速度という電気生理学的検査で診断します。

 治療法は、手術療法と手術を行わない保存療法があります。保存療法は、消炎鎮痛薬やビタミン剤の内服、湿布薬の使用、手根管内注射、手首の安静などがあります。

 ■日帰り手術が可能な場合も

 手術療法は、保存療法を行ってもなかなか症状が改善しない場合や筋肉が痩せてしまった場合に当てはまります。全身麻酔以外の麻酔法であれば、入院せず日帰りで手術を行うことも可能です。手術後、抜糸を行う7〜10日までは皮膚切開部分を保護しておく必要がありますが、出血が収まっていれば日常生活に大きな制限はありません。

 ご質問の女性は、春から長期にわたって不快な症状に悩んでいらっしゃると思います。手術以外の治療法としては、現在処方されている内服薬に加えて湿布薬の使用や注射、サポーターや装具を用いた手首の安静をお勧めします。

 それでも一向に症状が改善せず、筋肉が痩せてくるようであれば、やはり手術を行う必要があります。ひとたび筋肉が痩せてきてしまうと、手術をしたとしても完治は難しく、筋肉の回復にかなりの時間がかかりますので、一度主治医の先生に相談してみてはいかがでしょうか。

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