まちなかで仲間とランチを楽しむ人たちでにぎわった「不自然ピクニック」=10月17日、福井市中央1丁目の新栄テラス

 出来たてのソーセージとパンを詰めたバスケットを提げ、家族連れや若者グループがやってきた。抜けるような秋晴れの下、ウッドデッキにラグを敷いてランチタイム。出会った人同士で食べたり、飲んだり、笑ったり。JR福井駅西口の商店街の真ん中で、ゆったりと過ごすひととき。

 本紙連載「まちづくりのはじめ方」企画班などが、10月17日に開いたイベント「不自然ピクニック」。コイン駐車場だった空間がこの日は、色とりどりの小旗やクッションに飾られたピクニック広場になった。

   ■  ■  ■

 まちに目立つコイン駐車場。福井市の中心市街地105ヘクタールにある平面駐車場は394カ所に及ぶ(2012年現在)。空き地を含めた「低未利用地」の変遷をたどると、1996年の7.5ヘクタールから、12.5ヘクタールにまで増えた。中心市街地の1割超を「利用度が低い土地」が占めている。

 そんな土地の使い方を少し変えてみようというのが、会場に利用した広場「新栄テラス」だ。福井市と福井大が、私有地のコイン駐車場を10月から1カ月限定で借り受け、まちに訪れた人みんなが使える公共空間につくり替えた。

 遊休不動産を生かしてまちを再生するリノベーションまちづくり。その考え方を当てはめれば、空き物件だけでなく、空いている土地だって、潜在的な魅力を備えたまちの貴重な資源。上手に活用する余地がありそうだ。

   ■  ■  ■

 イベント開始からしばらくすると、楽しげな雰囲気につられて、通りすがりの家族が立ち寄ってくつろぎ始めた。子連れで訪れた市内の30代女性は「出産して初めて外の空気を楽しむことができた」と満足そう。

 用意してあった打楽器を若者が鳴らしだすと、どこからかやってきたおじさんがウクレレ演奏を始め、それに合わせてダンスを始める人も。集まった人たちが自由に過ごす姿が重なって、空間が彩りを帯びていった。もしもこれが、「自然」な光景になったら、まちはどれほど生き生きするだろうか。

 テラスの一角では、初対面同士の子どもたちが一緒になって、思い切り駆け回っていた。父親がその姿に目を細めて言った。「まちなかでこんなにゆっくり過ごせたのは初めて」(細川善弘)

関連記事
あわせて読みたい