江戸時代の文化年間に購入された越前箪笥=福井県越前市元町の笠原善光堂

 今から約210年前、江戸時代後期の文化年間に購入された越前箪笥(たんす)が、福井県越前市内で見つかった。2年前に越前箪笥が国の伝統的工芸品に指定された際に最古とされた文政2(1819)年製より10年以上古く、越前箪笥の歴史や変遷を知る上で貴重な資料になりそうだ。

 この箪笥は市内の旧家が所有していたが、同市元町の仏壇店「笠原善光堂」に処分を依頼した。笠原仙一社長が修理しようと引き出しを開けたところ、一つの引き出しの側面に、「文化4(1807)年12月に之を求めた。顕順代」との墨書があった。また、別の引き出しの板裏には「文化5年12月 中橋市右衛門より求めた。代金は60目(匁(もんめ))。釈顕順代」と記されていた。

 元県史調査執筆員の本川幹男さんによると、法名が顕順という人物の代に購入したとの内容で、代金は銀60匁で金1両に相当するという。中橋市右衛門という人物や、なぜ二つの年号が記されているのかは分からない。

 だが、遅くとも文化5年に購入したとすると、文政2年の福田茂右衛門作と判明している越前箪笥より11年古くなる。

 箪笥は横幅88センチ、奥行き46センチ、高さ85センチ。表面はケヤキ、内部にはキリを用い、漆塗り(春慶塗)、飾り金具を施している。

 所有者の女性によると、この箪笥は数代前から家に伝わっているが、文字が書かれていることは知らなかったという。文字を発見した笠原さんは「古い年代と知り驚いた」と話している。

 越前箪笥の歴史はよく分かっていないが、調査している県文化財保護審議会委員の久保智康さんは「江戸前期や中期にさかのぼる箪笥があるとの情報もあり、今後の調査でさらに古いものが見つかる可能性がある」と話し、情報提供を呼び掛けている。同店は「たけふ菊人形」会期中(11月8日まで)、この箪笥をショーウインドーに展示している。

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