小型の「太陽炉」を使った実験を見学する高志中の生徒=8日、福井県敦賀市の若狭湾エネルギー研究センター

 福井県立初の併設型中高一貫教育校の高志中が4月に開校して半年。進学校の高志高に併設され、生徒は原則的にエスカレーター方式で高校に進むとあって、保護者の注目度は高い。中高6年間を通して「地域社会のリーダーとなる高い学力と豊かな人間性を養う」(県教委)教育方針の下、独自の課程を編成する授業や1期生90人の生活ぶりを3回シリーズで探る。

 ◆意見をはっきり

 「眼鏡が有名なことは地元だから知っていたけれど、眼鏡産業の歴史は調べてみて初めて分かった」。吉村泉澄(いずみ)さん(13)=福井県鯖江市=は、6年間を通じた独自科目「高志学」の週2コマ程度の学習時間で毎回新しい発見があるという。生徒は県内の全博物館を訪問するほか、全員が海外に短期留学し、英語で論文も作る。窪田裕行校長は「県内外、国外とどこで就職しても、常に古里福井を思いながら活躍してほしい」と狙いを話す。

 高志学の夏休みの課題は、自らの関心事をまとめた壁新聞づくり。見出しには「恐竜」「原発」といった本県にまつわるキーワードが並んだ。各自が作品を発表する場面では、担任教諭が「記事をそのまま読まず、自分が大事だと思うポイントを教えて」と助言。自ら動き、調べ、まとめる。さらにそれだけでは終わらずに、自分の言葉で分かりやすく人に伝えることが大切だと諭す。窪田校長は「グローバルな社会で生きるには、自分の意見をはっきりと表現できることが必須」と強調する。

 ◆使って覚える

 「Look up me」。米国出身の非常勤教諭クリステン・ドンネリーさん(28)が教壇から呼び掛けると、生徒は机をトントンとたたき「Look up you」と返す。教科書に沿った内容に加え、ネーティブな英語に触れる科目「英語表現基礎」を週に1コマ行っている。「机を移動して」「元の席に戻って」といった何げない会話も英語だ。

 9月中旬の授業では、「was」や「went」など過去形を使って夏休み中の思い出を発表した。過去形を学ぶのはこの日が初めて。細かい文法よりも先に、声を出して感覚的に使うことで、文法の理解度や英語への関心を深めていく。

 クリステンさんと積極的に会話していた鈴木彩日(あやか)さんは「授業や毎朝のラジオ学習など英語に触れる時間が多い。入学時は先生の言葉が聞き取れなくて不安だったけれど、だんだん分かるようになり、英語を話すのが楽しくなってきた」。森本麻友・英語教諭は「受け答えだけでなく、自分の感情を表現しようとする意欲が向上している」と手応えを感じている。

 県教委は「生徒の授業に対する食いつきがよい。生き生きとしている」と、出だしは好調とみている。

 高志中の1期生 全県1学区を採用し今年1月、児童545人が、国語や算数、理科・社会に相当する3種類の適性検査と作文に臨み、県内9市2町と県外の男子60人、女子30人が突破した。入学者選抜で求められたのは、自分の夢を明確に語れる力。「未来を切り拓(ひら)き、新しい時代を築くイノベーター(革新者)」を目指し学習している。

 通学路が3キロを超える生徒51人は公共交通機関を利用し、3キロ以下の生徒は自転車などで通学。県教委は、高志高に併設した理由の一つに、JR福井駅から徒歩7分ほどの距離にあり、交通の利便が良いことを挙げている。
 
1期生90人の出身小学校の所在地

福井市  54人
あわら市  1人
坂井市  10人
大野市   1人
勝山市   1人
鯖江市   6人
越前市   5人
敦賀市   3人
小浜市   1人
永平寺町  3人
越前町   2人
県外    3人
(4月1日時点)

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