雪室で貯蔵したソバなどを味わった試食会=福井県勝山市旭町2丁目

 福井県勝山市や市内の各種団体、飲食業者などでつくる市雪氷熱エネルギー利用促進協議会が進めている雪室(ゆきむろ)の実証実験結果がまとまった。冬に運び込んだ室内の雪は夏を過ぎても一定量残って室温を低く保った。貯蔵した農作物なども鮮度を保持するなど、環境に優しい“天然の冷蔵庫”としての効果が確認できた。

 降雪の多い勝山市の特性を生かして、省エネや雪室で貯蔵した品のブランド化を目指す取り組み。ことし1月、同市平泉寺町岡横江のJAテラル越前の空き倉庫に約250立方メートルの雪を運び入れ、コメやソバ、野菜などの貯蔵を開始した。

 福井大大学院工学研究科の調査結果では、雪室の温度は外気温と比例したが4〜6月は1〜2度、7〜8月でも5度前後を維持。雪の量は9月までに4割ほどに減少したものの夏場を十分乗り切った。湿度は80〜85%と高い数値を維持した。

 温度や湿度などハード面の環境は、おおむね雪室の機能を果たしている結果が出た。室内の空気口の断熱など細かな課題も見つかった。

 県食品加工研究所は5月7日から約3カ月間、雪室と常温で保管した農作物などの分析を行った。ソバは雪室の方が本来の緑色の色落ちや、酸化して風味が悪くなるのが抑えられた。日本酒も常温に比べて黄色っぽくなったり、風味が悪くなるのが抑えられるという結果が出た。大根とニンジンは水分の損失がほとんど見られず、鮮度が保たれていることを示した。

 コメは、おいしさの目安の一つである「味度値」や水分に大きな変化は見られなかった。

 このほど、市内のそば店で雪室で貯蔵した農作物の試食会があり、会員が味わった。特にジャガイモは甘いと評判だった。そばを打った店主の木船敏男さんは「しっとりとしていて新そばのようだ。高い湿度が影響しているのだろう」と話していた。

 市市民・環境部の担当者は「他県で実用化されいる雪室を勝山市でも活用できることを確認できた。これからブランド化に向けて検討していきたい」と話していた。

関連記事
あわせて読みたい