福井県の県都デザイン戦略の一環で、2016年度の完成を目指している福井城山里口御門(やまざとぐちごもん)や、越前焼の拠点施設である旧水野家住宅(福井県越前町)の復元工事など、福井県が進めている目玉事業の入札が相次いで不調になっていたことが14日までに分かった。価格設定の問題や業者の人手不足などが背景にあるとみられる。入札不調は増える傾向にあり、本年度の福井県の公共建築・設備工事のうち受注業者が決まらない「入札不調・不落」の割合は15・4%(9月8日現在)で、昨年度の3・6%を大幅に上回っている。

 山里口御門は福井城本丸西側の入り口を守る門で、入札不調になったのは、石垣の上の構造物の復元工事。木造2階建て延べ床面積59・57平方メートルの櫓(やぐら)門、平屋の棟(むな)門、土塀一式で、設計額は3億2261万9千円だった。県は学識経験者らでつくる考証専門委員会の意見を踏まえて実施設計を行い、瓦には笏谷石、建物には県産スギやヒノキを使用することなどを決めた。

 入札前に、複数の業者から入札参加資格確認の申請があったのを受け、県は見積額に当たる設計額を提示し9月24、25日に入札を行った。入札は原則、非公表の調査基準価格(2億円未満なら最低制限価格)と設計額の範囲内の額で争われ、企業の技術力や実績なども加味される総合評価落札方式になっている。しかし結局応札した業者はなかった。

 県は、申請書を提出しながら入札に参加しなかった業者から理由を聞き取るなどし、価格の変更などを含めて再検討し、早急に再入札を行いたい考え。

 一方、旧水野家住宅建築工事は越前焼の拠点整備に伴い移築復元するもので、設計額を1億8084万5千円にして、8月27、28日に入札を行った。応札した業者はいたが、入札に必要な条件を満たしていなかったため、落札には至らない不落となった。

 旧水野家に関しては、入札の条件を「県内に主たる営業所を有する者であること」から「県内に営業所を有する者であること」に変更し、参加の門戸を広げて19、20日に再度入札を行う。

 全国的に公共工事の入札不調・不落は増えており、県の本年度の公共建築・設備工事でも入札実施件数(9月8日現在)65件のうち、旧水野家のほか、県営球場のスコアボードの一部改修工事や県営住宅(越前市)の耐震工事など10件が成立しなかった。

 度重なる入札不調について、県内のある業者は「自治体の財政が厳しい中、業者にとって公共工事の価格は単価が合わず、落札したところで赤字になるときもある。利幅の少ない公共工事は避ける傾向にある」と話し、今後も不調は続くと見通す。

 別の業界関係者は「古い家屋を復元するなどの特殊な工事には高い技術を持った職人が必要だが、県内では確保が難しい。無理して確保しても高額になり、建物に見合った材料も高い。いいかげんな仕事で、後で文句を言われるのも避けたいから、手を出したくても出せない状況もある」と推測する。

 これに対し、県土木部営繕室は「なるべく県内業者に仕事を任せたいが、応募資格の枠を広げたり、設計額を再検討するなどして対応していきたい」としている。

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