一九七○年に越前市白山地区に飛来し、今年六月に飼育先の兵庫県で死んだコウノトリ「武生」のはく製について県は十二日、越前市武生五中を皮切りに県内五会場で展示することを決めた。飛来当時「コウちゃん」の愛称で親しまれた「武生」。三十四年ぶりの”里帰り”の実現に、地元住民もパネル展示の制作など本格的に歓迎の準備に入る。展示は三十日から。

 「武生」は七○年十二月、越前市(当時武生市)西部の白山地区に飛来。七一年二月に捕獲され、兵庫県立コウノトリの郷公園に送られた。九四年に一人娘の「紫」、今年四月には待望の初孫が誕生。孫が生まれたのを見届けて安心したかのように六月二十日、老衰で死んだ。

 はく製での保存が決定したことを受け、県や地元住民は兵庫県に一時的な借り受けを要望。七月に了承を得た。はく製は九月下旬までに完成した。

 三十日午前十時半から、白山地区文化祭会場の武生五中で展示オープニング式を行う。はく製は美術品扱いのため、専用車で兵庫県から会場へ運んでくることになっている。

 十一月一日から二十七日までは越前市武生公会堂記念館、県庁県民ホール、県立図書館、越前市図書館分館で順次展示する。

 また、十一月二十七日には、越前市白山小で市主催のシンポジウムを開催。コウノトリの郷公園で放鳥事業が始まる中、基調講演や討論会などを通じて、再び飛来地となるよう里地里山保全の取り組みを検証する。

 白山小と同公園近くの豊岡市三江小の交流も予定されている。

 一方、三十四年ぶりの帰郷を、地元住民も歓迎している。住民グループが、三十日のはく製展示に合わせてパネル展を企画。下くちばしが欠けた姿や、捕獲された瞬間など「武生」が歩んだ歴史を振り返る記録写真を展示する。

 同公園で一足早くはく製を見学した「コウちゃんを愛する会」の平澤光雄代表は「じっと見ていると三十五年前の思い出がよみがえった。多くの人に『武生』の姿を見てもらいたい」と話している。

 飛来当時、白山小五年生で餌取りや観察日記を付けていた前田利博さん(45)=越前市堀町=も「いつか里帰りしてほしいという念願がかなった」と心待ちにしている。

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