道元筆・国宝「普勧坐禅儀」1巻=1233年(縦28.6センチ×横318.5センチ)

 鎌倉時代から現代に至る貴重な文化財を通して、大本山永平寺(福井県永平寺町)の歴史と、そこに受け継がれた美を紹介する「大永平寺展」(福井新聞社共催)が10月2日、福井県立美術館(福井市)で開幕する。道元を代表する著作で直筆の「普勧坐禅儀」(国宝)をはじめ、歴代禅師の肖像画(頂相)や仏像、山内の建物を飾る掛け軸、ふすま絵など、初公開を含む名宝約100点を一堂に展示する。

 大本山永平寺は1244(寛元2)年、曹洞宗の開祖道元禅師が創建した。老樹の茂る清閑とした境内には山門、僧堂、仏殿、法堂といった七堂伽藍(がらん)が立ち並び、多くの僧が修行に励む道場として、770年以上の歴史と多くの文化財を今に伝えている。

 同展は3章で構成。第1章の「道元禅師と永平寺のあゆみ」では、道元が宋での修行を終え帰国した直後に禅の奥義を記述した「普勧坐禅儀」を18日まで特別公開する。今回、展示するのは1233年に道元自身が清書したもの。1952年3月に国宝に指定された。

 永平寺草創期に制作されたことが近年、明らかになった「伽藍神立像(がらんしんりゅうぞう) 監斎使者(かんさいししゃ)」(13世紀)などの仏像、道元や中世の歴代禅師の肖像画も並べる。永平寺は、歴史の中でたびたび火災に見舞われており、永平寺の伽藍が描かれた最古の絵図「吉祥山永平寺全図」(17世紀)は、当時の様子を知る上でも価値が高い。

 「永平寺の名宝」と題する第2章では、1483年に当時の朝鮮王朝時代の宮廷絵師が描いた「三帝釈天像」(県指定文化財)が注目される。確認されている同時代の仏画で制作年が分かるものは珍しく、赤や紫、緑、青など色彩豊かで優美な画面はトップクラスの出来栄えという。

 江戸幕府のお抱え絵師、狩野派隆盛の礎を築いた狩野探幽の「四季花鳥図」4幅(1672年)は、最晩年の代表作。展覧会に向けた同館の調査で新たに確認した奈良時代の写経「仏説大浄法門品経」1巻も初公開する。

 第3章「永平寺と近現代日本画」は、日本画家との関わりを紹介。明治から大正期に活躍した寺崎廣業の「ヒマラヤ図」(1919年)は寄進されたもので、当時の禅師と日本画家の深い交流を表す一例。仏教信仰上、重要なヒマラヤが金地に鮮やかな群青の顔料で描かれている。

 30年の2世懐奘(えじょう)禅師の大遠忌に合わせた大がかりな改修の際に、全国の著名な画家144人によって描かれた傘松閣の絢爛豪華な天井絵があるが、その指揮をとった南画の大家小室翠雲の作品4点を披露。中でも第10回帝国美術院展覧会に出品された掛け軸の大作「濯足万里流図」(29年)は秀逸。道元の750回忌に田渕俊夫、伊藤彬両氏が奉納したふすま絵は、現代日本画家による水墨画の大作として見応えがある。

 同展は11月8日まで(10月13、19、26日休館)。開館時間は午前9時から午後5時(10月2日は正午開館)。観覧料は一般千円(前売り800円)、高校大学生700円、小中学生500円。障害者手帳を持つ人と介護者1人は半額。関連企画として10月17、31日の午前11時から学芸員によるギャラリートークがある。10月3、17、31日を除く土日祝日は午前11時から見どころ解説会を行う。会期中、展示替えがある。問い合わせは同館=電話0776(25)0452。

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