国が開発した簡易水位計の一例。河川の水位を電波で計測する=神奈川県横浜市(国土交通省提供)

 洪水被害から住民を守ろうと福井県は本年度、基準を超えた増水時だけ稼働する「簡易水位計」を県管理河川に順次設置する。昨年、複数の台風が県内を通過した際、水位計のなかった市街地で避難判断に混乱が生じたため、国が開発した低コストの機器を活用する。木の芽川(敦賀市)や荒川(福井市)の市街地区間などを候補地に、水かさの増す来年6月半ばの出水期までに最大十数カ所で運用を始める方針だ。

 簡易水位計は、昨年7月の九州北部豪雨で多くの人家が河川の増水で浸水したのを機に、低コストの機器を全国に普及させようと国土交通省が開発した。県砂防防災課によると、通常型は平常時の水位も計測し、設置には1台約2千万円が必要という。これに対し、洪水時だけ稼働する簡易水位計の本体価格は1台100万円程度で、太陽光電池で動くため電源設備がいらない。設置を後押しする国交省の交付金もある。

 県は管理する40河川に通常型の水位計を80台設置している。だが木の芽川の市街地付近にはなく、県砂防防災課は「昨年8月の台風5号の際は敦賀市が状況を的確に把握することができなかった。すでに市街地の避難所にいた住民を、別の避難所に向かわせるかどうかなどの判断を迷わせてしまった」と反省する。

 昨年10月の台風21号の際にも荒川が増水。福井市日之出地区の住宅が床上浸水し、道路も冠水した。昨年12月定例県議会一般質問では、議員から水位計の不備が住民の混乱を招いたと指摘された。

 県が昨年度に県管理河川を緊急点検したところ、木の芽川や荒川をはじめ35河川の住宅地付近36カ所で水位計がなかった。県砂防防災課は「問題の発生場所や点検箇所を候補地に、市町の要望なども踏まえて簡易水位計の設置場所を決めたい」としている。

関連記事
あわせて読みたい