人工巣塔の巣で本格的な抱卵に入っていたとみられるコウノトリ=5月28日、福井県越前市大塩町

 福井県越前市は6月8日、同市大塩町で2日にカラスに割られたコウノトリの卵は有精卵だったと発表した。県内の自然下でふ化すれば、54年ぶりだっただけに関係者から「非常に残念」との声が聞かれた。

 市によると2日午前11時10分ごろ、人工巣塔の巣からカラスが卵を持ち去ったと地元住民から連絡があり、市職員が周辺を確認したところ、巣塔近くの畑でコウノトリの卵とみられる割れた卵1個が見つかった。

 卵の殻と内容物を兵庫県立コウノトリの郷公園に送り、5日に検査。殻の大きさや色、殻の内側に血管が見られることから、殻と内容物はコウノトリのものと鑑定した。

 ペアは同県豊岡市生まれの4歳の雄と5歳の雌で、郷公園は5月11日以降に産卵したと推定している。別の卵一つもカラスに持ち去られるのが目撃され、一両日は巣塔周辺でペアの姿が確認されたが、その後は見かけないという。

 県内で野外コウノトリが産卵し、ひなが確認されたのは1964年の小浜市国富地区が最後。越前市農政課の担当者は「自然の摂理で仕方ないが、地元の人たちがとても楽しみに見守ってくれていたこともあり非常に残念。今後もコウノトリが安心して暮らせる環境整備を続けたい」と話していた。

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