【論説】薬や化粧品、食料品に至るまで買い物はドラッグストアで済ませる、という人も多いのではないか。少し車を走らせると、新しくオープンした店があちこちで目に入り、県内でもドラッグストアが増えてきたと実感する。県外大手の店舗を含め、福井を舞台にドラッグストアのシェア争いが過熱している。

 ここ最近で県内への進出が目覚ましいのが、愛知県に本社を置くスギ薬局。昨年2月に敦賀市に出店したのを皮切りに、今年に入って福井、越前市に開店した。九州が地盤のドラッグコスモスは西日本から中部に勢力を拡大中で、5月に県内初出店を果たした。

 Vドラッグ、マツモトキヨシ、ココカラファインなど他の県外勢も着々と福井への浸透を図り、5年後の北陸新幹線県内延伸を見据え今後も出店は加速するとみられる。県内にくまなく店舗網を張り巡らせる地場のゲンキーやクスリのアオキも巻き込み、シェア争いはさらに激化しそうだ。

 各社はさまざまな戦略を描く。例えばスギ薬局は「調剤、美容、ヘルスケア」を売りに、管理栄養士や薬剤師、美容にまつわる相談に乗るビューティーアドバイザーを店内に配置し、カウンセリングを通じた販売強化を図る。コスモス薬品は、大手ならではのローコスト経営による低価格展開で支持拡大を狙う構えだ。

 一方、ゲンキーやクスリのアオキは食品関係を強化し活路を見いだす。ゲンキーでは生鮮食品の販売を導入した店舗の売り上げが、前年比で20〜30%伸びた。今後は生鮮の扱いを全店に広げたい考えで、売り上げに占める食品の比率を65%程度まで高めるという。

 ゲンキーはさらに、スギ薬局の地盤の中京方面へ進出を強める。岐阜県内に物流と生鮮食品の加工を担う拠点を建設中で、完成すれば全て自社対応が可能になりコスト削減につながる。2019年6月までに50店舗の新規出店を目標に掲げるが、そのうち愛知に25店、岐阜で15店を計画する。攻められたら攻め返す構図はまさに戦国時代だ。

 これだけ店が増えても、オーバーストア状態かといえば、そうでもないらしい。国内のドラッグストア市場は拡大を続けており、経済産業省の統計によると17年の販売額は前年比5・4%増の6兆580億円。伸び率はスーパーやコンビニをはるかに上回る成長産業だ。「10兆円市場になる」とみる専門家もいる。

 家の近くに複数のドラッグストアがある。消費者にしてみればありがたい限りだが、店側にとっては生き残りを懸けた厳しい時代だ。地域に密着し住民の信頼を得る戦略こそが、何より大切と思われる。

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