引き取り手のない遺骨を納める永代供養墓を作った岡崎賢さん=福井県越前町の祐善寺

 住職であり、社会福祉士として身寄りのない高齢者の後見人もしている岡崎賢さん(69)=福井県越前町=がこのほど、被後見人が亡くなった後、引き取り手のない遺骨を納める永代供養墓を作った。「孤独な人生を送ってきた被後見人と出会えたのも何かの縁」。一人一人の人生に思いをはせながら、月命日にお経を上げている。

 岡崎さんは2003年から後見人をしている。被後見人の多くは、借金やアルコール依存症などによるトラブルで家族と離縁し孤立した状態という。岡崎さんは「被後見人が亡くなると、参列者がいない火葬場で、私が点火ボタンを押し、骨を拾うことは珍しくない」。親族に亡くなったことを知らせる手紙を出しても、返事がないことは多い。

 引き取り手のない遺骨は、本尊をまつった須弥壇(しゅみだん)の後ろの戸棚に納めており、骨壺(つぼ)は19人分まで増えた。親族が訪れたときに手を合わせる場所を確保したいとの思いから、自身が住職を務める祐善寺の境内に墓を作った。一人一人の法名も付けた。

 「父の骨など見たくない」と遺骨の引き取りを拒否していた女性が数年後に寺を訪れ、涙を流しながら手を合わたこともある。岡崎さんは「時間がたち命のつながりを感じることもある。お墓が遺族にとって心の古里になれば」と願う。

 現在も複数人の後見人をしている岡崎さんは「お墓を作る慣習がすたれつつあり、行き場のない骨は今後も増えていくだろう」と話す。墓石には「一切(いっさい)の有情(うじょう)はみなもって世々生々(せせしょうじょう)の父母(ぶも)兄弟なり」(歎異抄)と彫ってある。生きとし生けるものは何度も生まれ変わりながら、父母兄弟のようにつながっている―。刻まれた言葉に岡崎さんの無縁社会への警鐘がにじむ。

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