【越山若水】男は働いて一家を養い、女は家事や育児をするものだ―といった固定観念はずいぶん根深いようだ。タレントでエッセイストの小島慶子さんが体験を語っている▼夫が急に仕事を辞め、小島さんは4年前に4人家族の大黒柱に。そうなってみて「無職の男なんてだめだ」と言いたい気持ちが湧いてきた。あれ? と思った▼実際に言ってしまって自己嫌悪に陥ってしまった言葉もある。「稼いでいないくせに」。男が言えば軽蔑してしまうセリフを、自分が口にしたのがショックだった▼少子化ジャーナリスト白河桃子(しらかわとうこ)さんとの対談で披露している(「『専業主夫』になりたい男たち」)。男と女は対等だ、と戦ってきたのに実は旧来の価値観に縛られていた、と▼「政治分野の男女共同参画推進法」が先月、施行された。国会や地方議会の選挙の候補者数を「できる限り男女均等」にし、遅れている女性の政界進出を後押しする狙いである▼といっても簡単にいく話ではない。特に「議員活動と家庭の両立が難しい」のが障害になる。女性議員の少ない原因を問われ、全国の女性地方議員が一番に挙げている▼小島さんの体験から推察すれば、ここにも「男は社会、女は家庭」の固定観念が潜んでいそうである。男女が真に対等なら、女性議員は家を夫に任せればいい。でも、それは誰より自身が許さない。厄介な問題だ。
 

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