福井市の財政状況について東村新一市長(左から2人目)の説明を聞く西川一誠知事(左端)=6月1日、福井県庁

 福井市の中核市指定申請に必要な福井県の同意が、当初想定されていた7月から先送りされる可能性が濃厚となった。財政難発覚後、中核市移行を巡る市と市議会の議論が十分に尽くされていない中、県が6月19日に開会する6月定例県議会に同意の可否を問う議案を提案しても可決は極めて困難な情勢だ。西川一誠知事は6月1日、東村新一市長に「市民の不安を払拭(ふっしょく)する立て直しが大前提だ」と厳しい表情で語った。

 ■重い空気

 1日午後4時半ごろ、県庁7階の知事応接室は重い空気に包まれていた。

 東村市長「一刻も早い中核市移行が必要との考えは変わっていない。4日に開会する市議会で十分に議論し、財政計画などをさらに具体化して改めて報告させていただく」

 西川知事「市民の皆さんが不安を感じないよう、いろんな事柄を十分チェックし、立て直すことが必要。何をやるにしてもそれが大前提だ」

 面会の時間は約4分間。東村市長は平身低頭で財政難をわび、中核市移行に理解を求めた。だが西川知事は眉間にしわを寄せたままだった。

 これには理由がある。

 東村市長は4月18日、市議会の可決を踏まえ、国への中核市指定申請に必要な県の同意を申し入れた。この際、西川知事は「県として最大限応援する」と約束した。市の財政難がその後明らかになり、県幹部は「はしごを外された思いだ」とため息を漏らす。

 6月定例県議会に県の同意の可否を問う議案を提案すれば「県は、中核市移行後の財政運営が大丈夫だと言い切れるのか」と、集中砲火を浴びるのは火を見るより明らかだ。西川知事と最大会派県会自民党の関係も決して良好ではない。「来春の知事選で西川氏の5選出馬が確実視される中、政争の具になる恐れがある」と見る向きもある。「念入りに準備してきて否決されたら元も子もない。応援したいからこそ慎重にならざるを得ない面もある」。先の県幹部は複雑な心境を明かした。

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