【論説】学校の授業などで新聞を活用するNIE活動が、本年度も福井県内9実践指定校を中心に始まった。2020年度には「社会に開かれた教育」を目指す新学習指導要領が小学校で全面実施となる。NIEの現場では、社会のあらゆる事象を取り上げる新聞を教材として、新指導要領が掲げる「主体的・対話的で深い学び」が模索されることになる。

 NIEの授業では、新聞記事を基に児童生徒が話し合いをする場面をよく目にする。最近、見学した小学校の授業では、北海道新聞と福井新聞の記事を読み比べ、自分の考えをしっかり発表する子どもの姿が印象的だった。「主体的・対話的で深い学び」とNIEとの親和性を実感する。

 本年度の県内の実践指定校は新規5校、昨年度からの継続4校。各校はそれぞれ、時代にふさわしい目標を掲げている。

 上庄中(大野市)は「コミュニケーションによる学びの深まりを楽しむ集団づくりに迫る」、越廼中(福井市)は「対話による深い学びにつなげる」。ともに新学習指導要領を見据えた。時代が求める資質として「活用力、探求力、思考力、表現力の育成を図る」(福井市安居小)、「社会に目を向け、読み取る力・発信する力を育む」(若狭町瓜生小)といった目標を掲げた実践校もある。

 インターネットにより情報量が飛躍的に増加する中、情報を重視する実践校も目立つ。「世の中とのつながりを深め、情報発信力や実践力を高めよう」は粟野中(敦賀市)の目標。南中山小(越前市)は「情報を活用する力を高めることで自ら問題を解決する力を育成する」とした。

 近年は「フェイクニュース」と呼ばれる偽情報が社会問題化しており、メディアリテラシー(情報を読み取る力)を取り上げる学校もある。糸生小(越前町)は、目標を「最適な情報を選択し自ら発信する能力を身につける」などとした。芦原中は「情報モラル」をテーマに公開授業を実施。全国的にスマートフォンによるトラブルが相次ぐ中で対応を考え合った。

 高校では武生東高が進路選択を見据えた新聞活用を試みる。生徒は志望分野に関連した記事を要約し、コメントを考える。社会の課題の解決策を提示する力を育成する狙いだ。

 今後、人工知能(AI)技術によって、産業構造は劇的に変化していく。グローバル化もますます進むだろう。その変化する社会と新聞は密接につながっている。NIEは、社会の変化に対応できる柔軟性や、新しい価値を生み出す独創性にあふれた人づくりに結びつくはず。実践校のみならず、広く活用が広がることを期待したい。

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