「供述の裏付けがないと合意はできない」と話す福井弁護士会刑事弁護委員長の端弁護士=5月24日、福井県福井市内

 司法取引を盛り込んだ改正刑事訴訟法が6月1日に施行された。組織犯罪の捜査で首謀者の摘発につながると期待される一方、うその供述によって無実の人を巻き込む危険性も懸念される。福井弁護士会で刑事弁護委員長を務める端将一郎弁護士に新制度について聞いた。

 ―司法取引導入のメリットは。

 「被疑者にとっては、供述することで検察官が不起訴にしたり、裁判で執行猶予付きの判決が見込めたりする」

 ―冤罪(えんざい)を防ぐため、虚偽供述や偽造証拠を提出した場合5年以下の懲役が科される。

 「司法取引をしたいと訴えてくる被疑者は増えると思うが、供述を裏付ける資料が必要。『あの人に聞いた』といったうわさの範囲を出ない供述では合意できない。検察側から利益誘導するような発言がもしあれば問題だ」

 「弁護人としては、供述が正しいのかどうか慎重に見極める必要がある。合意した供述が虚偽だった場合などに、どこまで弁護士が責任を負うのかという問題はある」

 ―司法取引が乱用される可能性は。

 「最初は経済事件など検察が行う独自捜査事件で使われるのではないか。詐欺などのように、被害者がいる犯罪では、被害者感情を考えると使いづらいと思う」

 ―福井弁護士会の対応は。

 「会員の弁護士に制度の周知を図っていく。また、司法取引が行われた場合、守秘義務に反しない範囲で、どのように手続きが進められたかなど、情報を共有・分析していきたい」

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