加熱式たばこの有害性を説く呼吸器外科の小林弘明顧問=福井県済生会病院

 紙巻きたばこから新型の「加熱式たばこ」に切り替える人が増えている。加熱式は燃焼による煙が出ないため、周囲への影響や健康リスクが少ないというイメージがある中、福井県内の禁煙専門医は「紙巻きと同程度のニコチンを含んでいるものがあるほか、国の調査で発がん性物質も確認されている」と有害性を指摘する。

 加熱式たばこは、電気式の専用器具で葉タバコに熱を加えることで発生させた蒸気を吸う。国内では、フィリップモリスの「アイコス」やブリティッシュ・アメリカン・タバコの「グロー」など3種類が販売されている。灰や煙が出ず、紙巻きたばこに比べて臭いが少ないのが特徴。たばこ各社は健康への影響が小さいとしており、禁煙エリアでも加熱式たばこの喫煙を認める店舗もある。

 一方で、日本禁煙学会や日本呼吸器学会所属の医師の中では健康への影響を懸念する声が強い。厚生労働省などの調査で、加熱式の喫煙者が直接肺に吸い込む蒸気には、ホルムアルデヒドなどの発がん性物質やニコチン、タールなどの有害物質が含まれていることが分かった。福井県済生会病院(福井市)で禁煙外来・禁煙教室を担う小林弘明・呼吸器外科顧問は「ニコチンは血管を収縮させ、心筋梗塞や脳梗塞などの原因になる。加熱式の1本あたりの量は少なくなっているとしても、ニコチン依存症の喫煙者は無意識のうちにニコチンが一定の血中濃度になるまで何度も吸煙することになる」と紙巻きと同様の有害性があると説く。

 また、加熱式の喫煙者の口から出るPM2・5などの有害物質を含む蒸気は、すぐに見えなくなるが、紙巻きの煙と同じように周囲に広がる。喫煙者のそばにいた人の4割がのどの痛みや気分不良を覚えたというデータもある。「煙が見えにくく臭いもわずかなので、受動喫煙のリスクの回避が困難な点も問題」と小林顧問は指摘する。

 5月31日は「世界禁煙デー」。政府が今国会に提出している健康増進法改正案では、加熱式たばこも規制対象になっている。小林顧問は「健康への影響は長期間で現れるものだが、しっかり検証されるまで野放しにはできない。禁煙以外に個人レベルで肺がんのリスクを下げる方法はない。論理的に危険性のあるものは控えるべき」と訴えている。

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