【越山若水】少し難しい漢字であるが、「襤褸」と書いて「ぼろ」「つづれ」「らんる」と読む。使い古して破れた役に立たない布きれ、継ぎはぎにされた衣類のことをいう▼江戸時代以前はもちろん、明治から昭和初期にかけ布類は高価で貴重だった。だからぼろ布をつなぎ合わせて着衣や敷物にして再利用するのは当たり前のこと▼さらに時代が下れば、同じ技法が趣味の世界で生かされた。何枚もの布きれをうまく縫い合わせ、西洋風の室内装飾に仕上げるパッチワークやタペストリーである▼使い込んだ素材と多様な色合いが織りなす模様は、古くさいどころかむしろ味わい深く美しい。ことわざ「外襤褸(そとぼろ)の内錦(うちにしき)」のように、見かけは貧しそうな端切れでも豊かな暮らしを演出してくれる▼それではこのケースはどうだろう。加計学園問題を巡り、安倍首相と加計理事長の面会を記録した愛媛県文書に対し、学園側が唐突に「誤った情報を伝えた」と言い出した▼事前の謝罪もない発表に、愛媛県知事は怒りをあらわにする。苦境に立つ首相を援護するようなコメントは、弁明のほころびを繕う継ぎはぎのようだ▼慣用句で「ぼろが出る」という。あまりに都合のいい加計学園の対応は、秘密を覆い隠す言い訳にも聞こえる。「ぼろ」は擬態語の「ぼろぼろ」が語源とされる。継ぎ目からうそがこぼれ落ちないか要注意である。

関連記事
あわせて読みたい