【論説】越前加賀海岸国定公園は指定から50年を迎えた。その一角の福井県越前町では、町観光連盟が海岸の風景写真を会員制交流サイト(SNS)に投稿してもらうキャンペーンに着手するなど記念企画を活発に展開している。海のレジャーが盛んになる夏本番に向け節目の年を一段と盛り上げたい。

 同公園は石川県加賀市から敦賀市までの総面積2万596ヘクタール。自然公園法に基づき、1968年5月1日に指定された。リアス海岸の若狭湾と対照的な隆起海岸で、日本海の波を受けた奇岩や岩壁が特徴だ。

 とりわけ巨大な岩場が連なる越前岬の南北数キロの海岸線は、特別保護地区や第1〜3種の特別地域が広範囲に設定された公園の中核ゾーンである。この半世紀の間、大きな開発もなく景観が維持されてきたのは、自然公園法の保護の網がかけられたことが大きいだろう。

 場所によって建物建設や看板設置、木竹伐採などさまざまな場面で県の許可が必要になることを住民らも理解し、意識高く守ってきた。「越前海岸のシンボル的な景観が50年間維持されてきたことは誇りであり、観光の未来を築く上で価値あるものだった」と町観光連盟の担当者は話す。

 同連盟は節目の年を「国内外に特別感をもって発信できる好機」と位置づけ、越前岬灯台や夕日をモチーフにしたロゴマークを制作するなど記念企画を展開している。夏本番に向けては、遊漁船で漁師とクルージングしながら景観を楽しむなど、さまざまな角度から公園を体感するツアーを企画したいと意気込む。

 海岸線に立ち並ぶ旅館など観光施設の多くは昭和の高度経済成長期に開業した。半世紀が経過し世代交代した経営者も多く、昭和の遺産を生かしながら、次代に通じる観光地へといかに進化していけるか、同連盟を交えて模索しているという。

 方向性として一つ明確なのは、増加が見込まれる訪日客の誘致。東京や京都から地方へ引き込む手段としては、その土地の本来的魅力を満喫できる体験型観光の構築がキーワードであり、自然公園は文化遺産と並び訴求力の高い資源だといわれる。政府が観光を成長戦略の柱の一つに位置づける中、環境省は国立公園の利用をモデル的に進める事業に着手している。

 越前加賀海岸についても東尋坊やラムサール条約登録の中池見湿地、片野鴨池など著名なスポットが多く、総合的にアピールすれば大きな発信力となるはずだ。国定公園50年を連携の契機としたい。記念企画は現在、越前町以外では目立った活動は見られず孤軍奮闘の感があるだけに今後、取り組みの輪を広げたい。
 

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