【論説】国会答弁に合わせて文書の改ざんに加え、廃棄を進めていたというから、開いた口がふさがらない。

 学校法人「森友学園」への国有地売却を巡り、財務省が学園との交渉記録を国会に提出した。昨年2月の問題発覚後、野党が追及する中、当時の理財局長だった佐川宣寿前国税庁長官が「ない」「廃棄した」などと言い続けてきた記録だ。

 この答弁に沿って、「理財局の一部職員の指示」で意図的に廃棄していたという。提出した記録は職員の「手控え」だと説明しているが、財務省ぐるみで隠蔽(いんぺい)を図ったとの疑念が膨らむ。調査結果は後日、公表するとしている。国会の会期末が6月20日に迫る中、逃げ切りを図ろうとしていないか。

 交渉記録には、安倍晋三首相夫人の昭恵氏の記載が10カ所以上にも及ぶ。首相はなお否定し続けるが、濃厚な関与を示す記述もある。昭恵氏は無論、昭恵氏付の政府職員から話を聞く必要がある。さらには、佐川氏を再喚問すべきだ。財務省の罪は重く、麻生太郎副総理兼財務相にはけじめを求めたい。このままの幕引きは決して許されない。

 首相には、加計学園問題で愛媛県が提出した新たな内部文書を巡り、2015年2月に学園の加計孝太郎理事長と面会し、獣医学部に関して話をしたとの疑念が浮上。野党が虚偽答弁だとして攻勢を強めている。

 そんな最中に、計4千ページ近くに及ぶ交渉記録と改ざん前文書、加えて防衛省・自衛隊のイラク派遣日報隠蔽問題の調査結果が一気に提出された。意図的にぶつけ印象を薄めようとの安易な狙いも透ける。

 とはいえ、解明に向け手をこまねいているわけにはいかない。とりわけ、交渉記録には、昭恵氏や政治家の秘書が頻繁に関わっていることが改めて明らかになっている。

 昭恵氏付職員の谷査恵子氏が15年11月、森友学園の籠池泰典前理事長から国有地の貸付料の減額などを陳情され、財務省に問い合わせをし「夫人の知り合いから優遇を受けられないかと夫人に照会があった」と説明したことなどが記されている。首相は「谷さんが自発的にやったものだ」と答弁したが、昭恵氏の指示を受けての問い合わせにほかならないではないか。

 籠池氏は財務省や近畿財務局との交渉の都度、小学校の名誉校長だった昭恵氏を持ち出し、有利な状況をつくってきたとされる。夫人や首相への忖度(そんたく)が、8億円余りという破格の値引きにまでつながったとの疑念は今も拭えていない。

 首相はこれまでの答弁の棒読みを繰り返すだけでは国民不信は一向に解消されないことを知るべきだ。加計問題でも、いくら理事長との面会を否定しても、官邸の出入りがチェックされないルートがあり、官邸以外での面会も可能である以上、疑いは晴れない。関係者を国会招致し、向き合うよう腹をくくるべきだ。それができないなら、責めをいかに負うかを考える以外にない。

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