増える孤独死や大規模災害時の対応へ「警察医は多いほどいい」と話す福井県警察医会の奥村雄外会長=福井県福井市木田1丁目の奥村外科胃腸科

 高齢化に伴う「多死社会」を迎え、自宅で一人ひっそりと亡くなるなど死因が分かりにくい遺体の発見が福井県内でも増えている。その中で重要な役割を果たすのが、遺体発見現場で警察官と死因を究明する警察医。福井県警は約60人に委嘱しており、多くは開業医という。「死因究明は最期の見送り」(福井市の医師)との思いで、診察の合間や夜中にも現場に出向く。

 ⇒福井県警が取り扱った遺体の数

 「高齢者が自宅で亡くなっていたので立ち会いをお願いできますか」。福井市にある大滝病院の大瀧憲夫院長(56)の携帯電話に警察から依頼が入ったのは、その日の診察を終え、自宅でくつろいでいた午後7時すぎ。警察車両で現場に急行し、遺体の観察や採血結果、服用していた薬、受診歴などから病死と判断した。埋葬に必要となる死体検案書に「一番矛盾のない死因」を記したと話す。

 大瀧院長は2017年、遺体発見現場に47回駆け付けた。県内の警察医で最多だ。一日に複数の現場に行くこともあり、18年は元日が初仕事だった。夏場には腐乱遺体を調べることもある。

 もともと救急救命医で「呼び出しには慣れているから苦ではない」と言い切る一方、法医学が専門ではないこともあり「犯罪死を見逃していないかという不安は常にある」。東京での研修会に参加するなど勉強は怠っていないという。「遺族は死因を知りたいと願っており、究明するのは医師の義務」と強い思いで取り組んでいる。

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