【論説】通常国会会期末が来月20日に迫る中、議論を深めておくべきテーマに経済財政政策がある。政府は来月、経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)を決定する。今回は、新たな財政健全化目標や消費税増税に向けた景気対策など、中期的な影響がある重要施策が盛り込まれる予定だ。ところが今国会は、噴出する政府の疑惑追及に時間を取られ、これまで議論が十分とは言い難い。時間は限られてきているが、骨太方針に対し国会はチェック機能を果たす必要がある。

 骨太方針の素案はまだ見えていないが、論点はかなり出そろっている。財政健全化目標では、基礎的財政収支の黒字化時期が焦点である。

 基礎的財政収支は、政策経費が税収など基本的収入でどのくらい賄えているかを示す指標。日本は1990年代から赤字続きで、黒字化時期を2020年度とする目標は民主党政権時に掲げられ、国際公約ともなった。安倍政権も目標を引き継いだが、昨年9月、消費税増税分の使途変更を決めた際に断念し、達成時期を先送り。今年の骨太方針で新たに示される時期は25年度といわれている。

 20年度の達成は以前から困難視されていたが、問題は5年という先送りの幅をどう考えるか。既に財政再建が遠のくことに懸念の声が上がっている。一方、黒字化目標を設けること自体に懐疑的な意見も一部に根強い。専門家を国会に招くなどして、丁寧な議論をすべき局面である。

 骨太方針は消費税増税に関連した景気対策の基本的考え方も書き込む。住宅や車の減税拡充、14年の前回増税時に禁じられていた還元セールの規制緩和が検討されている。還元セールは家計負担は和らげるが、中小事業者の負担増になる恐れはないのだろうか。また前回増税時は、消費落ち込みが景気の足を引っ張ったとされた一方、落ち込みは一時的だったとの意見や、10%への2%引き上げは前回の3%引き上げより影響が少ないとの分析もある。基本的考え方について、あらかじめただしておくことは、景気対策を今後練り上げていく上で大切だ。

 このほか、経済財政諮問会議では、地方の歳出改革に関連して、地方交付税などの増加に歯止めをかける目安の継続が議論になっている。40年度に約190兆円との推計が公表された社会保障費の膨張も施策に影響してくるはずだ。

 骨太方針の決定後は、19年度予算編成作業が具体化する。黒字化目標がどう設定されるかはすべての予算にかかってくるし、日銀緩和の出口戦略の検討にも影響を及ぼす。消費増税に向けた景気対策は年内決定をにらんでいる。今国会は、経済財政政策議論のための貴重な機会なのである。

 昨年6月の骨太方針は経済・財政の一体改革を「手綱を緩めることなく」進めるとした。黒字化目標断念は、わずかその3カ月後。政府に真摯(しんし)な政策対応を迫るためにも、国会での議論の積み重ねが不可欠だ。

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