従業員と作業工程を打ち合わせる小林輝之社長(左)。「スムーズな事業承継のためには早めの準備が必要」と話す=福井県坂井市の長田工業所

 ■早めの準備で円滑に

 坂井市の溶接加工業、長田工業所は、小林輝之社長(43)と父の先代社長が早いうちから意識的に準備したことで、スムーズに事業を引き継ぐことができた。小林社長は福井市内の高校から県外の大学に進学。そのまま飲食業に就いたが、29歳のとき「父が築いた工場や設備、職人たちを守らなければ。技術を身に付けるためにも早い方がよい」と決意しUターンした。

 約2年間の承継準備を経て12年、37歳で社長に就任した。先代は当時まだ62歳。現在も会長として会社に残り、相談相手になっている。15年には、工場を一部開放して溶接体験などをしてもらう「アイアン・プラネット」を整備するなど、独自の取り組みで地域に必要とされる企業を目指している。

 東京商工リサーチ福井支店のまとめでは、休廃業・解散した企業の代表者の年齢は60代が37・9%で最も多かった。70代は33・0%、80代以上は12・2%で、60代以上の構成比が8割以上を占めた。小林社長は「次の経営者を育てるのには時間がかかる。譲る方も継ぐ方も、早くから承継を意識する必要がある」と指摘する。

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