従業員と作業工程を打ち合わせる小林輝之社長(左)。「スムーズな事業承継のためには早めの準備が必要」と話す=福井県坂井市の長田工業所

 経営者の高齢化などで休廃業・解散する企業が福井県内で増えている。東京商工リサーチ福井支店の調査によると、2017年の県内企業の休廃業・解散は457件で、倒産件数(45件)の10倍にもなった。前年に比べると約4割増。休廃業・解散した企業の代表者の年齢は60代以上が8割を占め、同支店は「景気の先行き不透明感に加え、高齢化、後継者不足が大きな要因となっている」と分析。事業承継の難しさを映し出す結果となった。

 ■手は尽くしたが…

 「これまで培ってきた技術や品質を引き継ぎたいという思いもあったが…」。90年以上続く製造業を営んできた県内の60代男性は約2年前、「今なら事業を辞めても迷惑は最小限で済むだろう」と廃業を決断した。工場への投資や直売所の開設など「いろんなことはやったつもり」だったが、売り上げは減少傾向で後継者もいなかった。

 廃業を取引先に伝えると注文が相次ぎ、完全に製造を辞めたのは1年以上後になった。顧客からは事業継続を望む声も多かったが、時代の流れで消費者の好みや価値観が変わり、後継者を立てようと思うだけの売り上げを保てなくなっていた。「時代に合ったものを作れるように設備投資したとしても、回収できるかは分からない」と、複雑な胸の内を明かす。

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