【越山若水】ほっかむり、泥棒ひげ、凶悪な目つき。加古里子さんの絵本「どろぼうがっこう」に登場する生徒は皆、いかにも、という風貌をしている▼もちろん、本を読む子どもの理解を助けるための表現で、現実の犯罪者は見た目では分からない。いわゆる「不審者」を見分けるのは、大人でも通常不可能である▼新潟市の女児殺害事件を巡り、「サングラスに黒い服」の男が取り沙汰された。複数の目撃談を報じるメディアもあったが、容疑者逮捕後に無関係と判明した▼3月に大阪府警のツイートが話題になった。「サングラスにマスク。そんな不審者はいません」。悪意を秘めた者は普通を装う、との注意だが、見るからに怪しい不審者も中には存在するから難しい▼そもそも何をもって不審とするかは定義できない。新潟市の「黒い服の男」が実在したかどうか分からないが、「いかにも」な話として、増幅されたことはなかったのだろうか▼犯罪学を研究する小宮信夫さんの「子どもは『この場所』で襲われる」によれば、防犯に関して「不審者」の言葉が使われるのは日本だけらしい▼小宮さんは、「場所」に注意するよう訴える。「人」と違い、見れば危険が判断できるからで「入りやすく、見えにくい」場所、例えば樹木で囲われた公園は犯罪を誘発しやすいという。正しい警戒の仕方を、私たちは知る必要がある。

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