新たなエネルギー基本計画案について意見を述べる福井県の西川一誠知事(前列右から2人目)=5月16日、経済産業省

 経済産業省の有識者会議で5月16日に提示されたエネルギー基本計画案は、原子力を「長期的なエネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源」と位置づけながらも、「可能な限り低減させる」とする矛盾が際立った。国が将来にわたって原発を推進するのか、自然減に任せるのか、再生可能エネルギーの普及で原発ゼロにするのか。はっきりしない微妙な表現がちりばめられ、さまざまな解釈の余地を残す。玉虫色の計画案がこのまま閣議決定されれば、福井県をはじめとする原発立地地域は今後も翻弄され続ける。

 ■表向きは脱原発だが…

   今回の案で示された原子力に関する記述は、ほぼ前回を踏襲する中、「2030年度のエネルギーミックスにおける電源構成比率(原発比率20~22%)の実現を目指し、必要な対応を着実に進める」と書き加えられた。ただ、新たに示された50年のシナリオに原発比率は示されず、原子力の技術開発は進めるとしつつも「再生可能エネルギーの拡大を図る中で、可能な限り依存度を低減する」と記した。

 一方、再生エネは主力電源化を目指すとしており、表向き30年以降は再生エネの拡大に伴って原発は減っていくと読み解ける。しかし、県関係者は「脱原発の条件に再生エネの経済的自立を掲げており、技術革新が進まない限りは原発が重要だという意思表示の裏返しとも取れる」と解説する。30年時点で20~22%の原発比率を維持しながら、その後の20年で原発から再生エネに急激にバトンタッチするというのは無理があるとの見立てだ。

 ■今から議論しないと

 経済や雇用の面で原発の恩恵を受けている福井県。50年時点の原子力政策の方向性は死活問題だ。原発の運転は最長60年に制限されており、新増設や建て替え(リプレース)をしなければ、50年時点で関西電力大飯3、4号機以外は稼働していないことになる。

 有識者会議の委員を務める西川一誠知事は「原発は大規模なプラントを長期にわたり造るものだ」と指摘。計画から運転開始までに数十年必要な原発を50年以降も使うなら、今から具体的な議論をしないと間に合わないとの立場を鮮明にする。

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