口腔がんが近年、増えていると聞きました。口腔がんには舌がん、歯肉がん、口底がんなどがあるということですが、口の中は生活の質(QOL)に直結する部分だけに気になっています。早期発見するには日頃からどのような点に注意して過ごすべきでしょうか。予防策についても教えてください。(福井県敦賀市、50代男性)

 【お答えします】木下英荘 福井総合クリニック 歯科・歯科口腔外科医長

 ■全身のがんの約2%

 口腔がんは口の中にできるがんの総称で、全身のがんの約2%を占め、患者数は人口の高齢化に伴い徐々に増加しています。口の中にできるがんで最も多いのは、口の中の粘膜ががん化する扁平上皮がんです。扁平上皮がんの場合、舌、歯肉、口底、頬粘膜の順に多くできます。

 一般的な口腔がんの治療は、抗がん剤治療、放射線治療、がんの部分を切除する治療が組み合わされます。口腔が果たす重要な役割として、食べる機能と話す機能がありますね。これらの機能は舌、歯肉、口唇、歯、顎の筋肉などの口腔の組織が調和することで成立します。口腔がんの治療後に残る副作用として、放射線治療が行われると、唾液分泌が減少し著しい口腔乾燥が生じることがあります。

 また、歯肉にがんができた場合は、歯肉や顎の骨の切除とともに歯を抜いたりしなければなりません。がんが舌にできた場合も、がんの部分を切除する必要があります。切除しなければならない組織や範囲にもよりますが、口腔がんの治療後は食べる・話す機能が低下し、生活の質も低下してしまいます。

 ■飲酒や喫煙控え、歯磨き時に 口内確認を

 まず、予防策は、喫煙と飲酒を控えることが重要とされています。特に飲酒時の喫煙は、たばこに含まれる有害物質がアルコールに溶けて口の中の粘膜に発がん性の影響を与えると考えられています。

 また、合わない歯の被(かぶ)せものや入れ歯による慢性的な粘膜への刺激や、歯磨きが適切にされず清潔に保たれていない状態も良くありません。他のがんと同様に、バランスの良い食事、適度な運動やストレスにも気を配りましょう。

 次に早期発見ですが、がんが深刻な状況になる前に見つけることは早期治療につながり非常に重要です。そこで歯磨きの時に、1日1回でも鏡で自分の口の中を見るようにしましょう。口の中は自分でチェックできます。「痛みが続く」「赤みが消えない」「小さくてもできものができた」などの異変に気付いた場合は、安易に口内炎や虫歯の痛みだと思い込まずに、かかりつけ歯科医や口腔外科を受診することをお勧めします。

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