「命のビザ」で救われたユダヤ難民らの調査についての説明会で話す北出明さん=5月11日、東京都内

 「命のビザ」で救われたユダヤ人は約3千人か―。第2次大戦中、外交官・杉原千畝が発給したビザによってナチス・ドイツの迫害から逃れたユダヤ人らの足取りを調べているフリーライターの北出明さん(74)=東京=が、根拠のないまま6千人とされている救出者の数を正確につかもうと、ユダヤ人が上陸した敦賀港(福井県敦賀市)の入管記録などを元に調査を続けている。これまでに受給者名簿「杉原リスト」にある2140人のうち、半数強の1111人の足取りをつかんだ。彼らに同行者は計228人おり、この割合から救出された人は3千人程度と推測している。

 現在、国内で一般的に使われている「6千人」は、1人のビザ所持者に2~3人の家族が同行したとの想定に基づいている。ただ「敦賀市通史」に3901人、敦賀に上陸したユダヤ人が滞在した神戸のユダヤ協会の史料には2063人などとの記録がある。また、自国ロシア側の視点から杉原研究を進めている歴史家イリヤ・アルトマンさんは近年、約2500人とする論文を発表。杉原の評価が国際的に高まるにつれ研究者も増え、2140人との乖離を指摘する声が強まっている。

 北出さんは、1940~41年の福井県発行の「ユダヤ避難民入国者表」をはじめ兵庫県の記録文書、多くのユダヤ人が日本から向かった米シアトルまでの乗船者名簿などを入手。杉原リストと各史料の人名を一つずつ照合させ、計1111人の足取りを突き止めた。ビザ所持者の多くが単独で、同行者は計228人とわずかだった。

関連記事