検証試験で車輪幅の切り替わる軌間変換装置を通過するフリーゲージトレインの試験車両=17年3月、熊本県八代市

 新幹線と在来線を直通運転できるフリーゲージトレイン(軌間可変電車、FGT)が暗礁に乗り上げている。3月30日、九州新幹線長崎ルートへの導入について与党検討委員会は費用対効果の観点で「事実上困難」と判断した。九州の計画が頓挫すれば、2番手となるはずだった北陸新幹線への導入に「待った」が掛かることになる。関西方面からの直通運転を期待していた福井県内からは「代替策として特急存続に舵(かじ)を切るべきだ」(ベテラン県議)との声が一層強まっている。

 長崎ルートの計画は、レール幅の異なるフル規格と在来線を走るため、FGT車両が欠かせない。だが開発が難航し、耐久性確認試験は14年11月から中断したままとなっている。運行主体のJR九州の青柳俊彦社長は、製造・維持コストが通常車両より割高になる点を踏まえ、昨年7月に「導入は困難」と表明した。

 与党検討委は、佐賀県内を走る在来線区間の新鳥栖―武雄温泉間の整備手法を▽FGT▽ミニ新幹線▽フル規格―の3方式から再選定し、今夏にも方式を決める予定だが、FGTは3月末の会合で早々と脱落した格好になった。青柳社長は4月の検討委で「全線フル規格で検討していただきたい」とだめ押しした。

 こうした状況に、福井県の幹部は「FGT導入が北陸もゼロに近づいている。ただ断念になるとさまざまな課題が生じる」と表情を曇らせる。中でも成り行きが注目されるのが、FGTの代替策となる並行在来線の特急存続だ。

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