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 SF映画は得意分野ではないけれど、SFの専門家でも知る人ぞ知る伝説(カルト)的な作品だという。日本では特集上映かテレビ放送でしか見る機会のなかったチェコ産のSF映画で、劇場公開はこれが初となる。

チェコといえば、先日ミロス・フォアマンが亡くなったが、彼が牽引した“チェコヌーベルバーグ”の陰で1963年に公開され、そのヌーベルバーグの担い手たちがスタッフとして参加している。原作はSF小説の大家スタニスワフ・レム(『惑星ソラリス』)の『マゼラン星雲』。

 2163年、世界で初めて生命探査の旅に出た宇宙船イカリエ−XB1は、アルファ・ケンタウリ惑星系を目指していた。舞台はその船内にほぼ限定され、40人の乗組員の科学考証に裏打ちされた日常とサスペンスフルな人間ドラマが繰り広げられる。

『スター・トレック』や『2001年宇宙の旅』に大きな影響を与えたとされるが、今見ると『エイリアン』(新シリーズも含め)、『未知との遭遇』、日本の『宇宙戦艦ヤマト』なども思い出される。要するに、その後世界中で作られてきた本格宇宙SFもののほとんどが、直接的か間接的かはともかく影響下にあるということだろう。

 それでも、特撮映画にもかかわらず少しも古びていないのは、確かな脚本の力と科学考証への意識の高さゆえだろう。遅きに失したとはいえ、今回の劇場公開により日本でも今後は“カルト”ではなく“古典”と呼ばれるはずである。★★★★☆(外山真也)

監督:インドゥジヒ・ポラーク

出演:ズデニェク・シュチェパーネク、ラドヴァン・ルカフスキー

5月19日(土)から全国順次公開

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